お知らせ

高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案) に対する意見書(パブリックコメント)を提出しました

2023.1.20

2023年1月19日、パルシステム東京は、原子力規制庁へ「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)に対する意見書(パブリックコメント)」を提出しました。

 

2023年1月19日

原子力規制庁原子力規制部原子力規制企画課
高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要 (案)
に対する科学的・技術的意見の募集担当 御中

 

 

高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)に対する意見書(パブリックコメント)

 

 

生活協同組合パルシステム東京
代表理事 理事長 松野 玲子

 

 

 私たちパルシステム東京は、平和を基本とし「『食べもの』『地球環境』『人』を大切にした『社会』をつくります」を理念に掲げ、約53万人の組合員が、安心して暮らせる持続可能な社会の実現を願い、事業と活動をしている生活協同組合です。 

 2022年12月16日に開催された、総合資源エネルギー調査会第52回基本政策分科会において、利用政策の観点から運転期間に関する制度を改正する方針が示されたことを受け、高経年化した発電用原子炉の安全規制を実施できるような法的枠組みが文書で示されました。

 老朽原発について60年超の運転を可能にする新たな規制の概要(案)に対し、以下の点から反対します。

 

1.国民的論議もなく、科学的・技術的な担保がない安全規制は受け入れられません。

 

 2012年、東電福島第一原発事故の教訓を踏まえて原子炉等規制法に運転期間を「原則40年、最長60年」とする規定が盛り込まれました。稼働後40年を超える発電用原子炉に対する事業者の点検や老朽化評価には限界があり、原子力規制委員会の審査により科学的・技術的な安全性を担保できるのか不安が残ります。そのような中、原発活用を前提とした運転期間延長について丁寧な国民的議論もなく、わずか3ヶ月余りで拙速に容認された安全規制は受け入れられません。東電福島第一原発事故の教訓を踏まえた『利用と規制の分離』が蔑ろにされ、原子力規制庁の存立基盤が危うくなっている事態を危惧します。

 

 

2.運転期間を原則40年とする現行規定を堅持すべきです。

 

 運転期間60年以降の発電用原子炉に対し安全性を確認する具体的な方法は示さず、点検方法など詳細な検討は先送りされました。これまでも、運転期間30年を超える原発に対しては高経年化対策制度として10年ごとの審査が行われており、今回の制度により安全規制を厳格化したわけではありません。

 老朽原発は原子炉の耐久性など未知数な点が多く、世界でも60年超運転の前例はありません。したがって、運転期間を原則40年とする現行の規定は残すべきです。

 

 

3.「照射脆化」の問題に不安が広がっています。

 

 

 日本原子力発電東海第二原発の延長に際しては、経年により原子炉圧力容器の鋼材が中性子を浴びてもろくなる「照射脆化」を巡り、原電の評価法に問題が提起されています。これに対しては、原電が公表している試験結果に、鋼材が照射前より強くなっているとのデータが含まれる不自然さについても指摘されています。これは、東海第二原発に限った問題ではなく、国内の老朽原発全体での評価方法や結果の正確性への不信感にも繋がり、安全性の担保がないままの延長は不安が残ります。

 

以上

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