活動レポート
福島スタディツアー2023
2023.3.14
富岡町夜の森へ続く道
パルシステム東京では、東日本大震災発生後、「3.11を忘れない」を基本視点に2013年から『福島スタディツアー』を開催してきました。2023年1月23日~24日、被災の体験と教訓を学びに役職員10人で福島を訪れました。
復興手づくり布ぞうりの『楢葉わらじ組』と再会
はじめに、1997年に日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして開設された「Jヴィレッジ」は原発事故対応の前線基地となり、本来のスポーツ施設としてのあゆみを止めていました。2019年4月に営業を再開しました。
Jヴィレッジやわらじ組のみなさんが住む「楢葉町」は、東日本大震災が発生し全町避難を余儀なくされました。わらじ組の皆さんは、会津若松の仮設住宅に避難し、そこで「布ぞうり」を習得し、グループを作り活動され、2015年に9月に避難指示が解除され戻られてからも、活動を継続されています。現在、わらじ組は8名で活動しており、久しぶりの再会に話がはずみました。以前は小学校の教室を借りて活動していましたが、小学校の開校に伴い、今は町のコミュニティセンターに変わりました。コロナ禍で思うように活動できない時期もあり、今はそれぞれ自宅での作業を中心に月1回集合しているとのこと。みなさんが「布ぞうり」を待っていてくれることを励みに頑張っているそうです。
楢葉わらじ組の「布ぞうり」
その後、2019年福島スタディツアーで訪れた「浪江町」へ。
浪江町は2017年に避難解除されました。解除後に建てられた商業施設も多くあり、2021年3月には「道の駅なみえ」がオープンしていました。
3.11当時、浪江町は最大15.5メートルの津波が押し寄せ、災害による直接死が182人、その8割以上が請戸地区で、震災による関連死は92人でした。
3.11の体験を紙芝居で表現
震災前は浪江町で農業を営む傍ら、浪江町婦人消防隊として活動していた岡洋子さん。震災後、福島市に避難して2014年から「浪江まち物語伝え隊」として紙芝居の上演活動をしています。浪江町の昔話だけでなく、震災時の消防団の話などをテーマとし、要請があれば海外にも出向き、東日本大震災・原子力災害伝承館でも、月に何回か「震災紙芝居」の上演活動もしています。
震災遺構 浪江町立請戸小学校
~全員が無事避難することができた請戸小学校の奇跡~
2021年10月に一般公開された請戸小学校。
2011年3月11日、5時限目の授業が終わろうとしていた時にいまだかつて経験したことのない地震が起き、小学校にいた教師の迅速な判断と生徒の協力により、約1.5㎞先の大平山を目指して全員避難し助かりました。本当に海が近くにあり、被害の大きさを実感しました。
※地域のシンボルである請戸小学校を震災遺構として整備・保存し、防災について考えるきっかけとして、また後世へ伝承していくための施設として公開しています。
東日本大震災・原子力災害伝承館
東日本大震災・原子力災害伝承館は、2020年9月に開館しました。
福島県は、東日本大震災及び原子力災害という未曽有の複合災害の記録と教訓を後世に伝えるとともに、復興に向けて力強く進む福島県の姿やこれまで国内外の支援への感謝も含め「東日本大震災・原子力災害伝承館」を整備しました。伝承館では、震災関連資料の「収集・保存」や複合災害に関する「調査・研究」。それらを活かした「展示」、複合災害の経験・教訓を伝えるための「研修」の4つの事業に取り組むとともに、福島イノベーション・コースト構想における情報発信をしています。
大熊町から未来を考える 木村紀夫氏
大熊未来塾 木村紀夫氏
木村紀夫氏(大熊未来塾塾長)
東日本大震災で事故を起こした福一原発が立地する福島県大熊町で生まれ育つ。津波で家族3人を亡くし、父親と妻の遺体は震災後2カ月以内に発見されるが、次女の汐凪(ゆうな)ちゃんの遺骨の一部が発見されたのは震災から5年9か月後。自身の体験から防災と現代社会の豊かな生活への疑問について発信しています。
大熊未来塾塾長の木村紀夫さんに大熊町の「帰宅困難区域」をガイドしていただきました。
スクリーニング場は撮影禁止、各々の判断で防護服に着替え、入域の前後に被ばく線量をはかります。事前に申請しなければ立ち入ることが出来ないこともあり貴重な体験をしてきました。
次女の汐凪ちゃんが通っていた児童館や長女の通っていた小学校、熊川地区の避難場所として指定された公民館、海の近くの栽培漁業センター、木村さんの自宅、汐凪ちゃんの遺骨の一部が見つかった場所など。2045年まで人が住めない帰宅困難区域で、防潮堤の建設が進んでいる状況は、誰のための復興なのかを考えさせられました。
◆活動継続のためのご寄付のお願い
[振込先]
・東邦銀行 楢葉支店 普通
【口座番号】236831
【口座名】一般社団法人 大熊未来塾 シャ)オオクマミライジュク
※なお、各種お知らせ、年度ごとの活動報告等の送付を検討しておりますので、ご入金の前に
下記問い合わせ先にご一報いただけますと幸いです。
・一般社団法人大熊未来塾
【住所】〒979-0331 福島県いわき市久之浜町末続字代48番地の1
【電話】080-6006-4811
【mail】okuma.future@gmail.com
13歳で経験した3.11と原発事故 秋元菜々美さん
秋元菜々美さん
1998年、福島県双葉郡富岡町生まれ、2022年まで富岡町役場職員として勤務。当時13歳で被災し、原子力災害によって避難。自宅のあった夜の森地区は、帰還困難区域に指定されていますが、2023年4月に避難指示解除を予定しています。「土地の歴史」「東日本大震災の被災」「現在の暮らし」の3つの時間軸を巡り、過去に想いを馳せることで、どう生きるかを共に思考するツアーを富岡町で行っています。
訪問した先々で、未曾有の原発事故と向き合い、故郷の再生に向け歩き始めた福島の人々の力強さを目の当たりにしたスタディツアー。パルシステム東京はこれからも被災地を「忘れない」取り組みを続けていきます。
paltokyo-seisaku@pal.or.jp
月曜日~金曜日: 9:30 ~ 17:00
時間外および土日、夏季休業日、年末年始のお問い合わせには回答にお時間をいただく場合があります。ご了承ください。