お知らせ

「漁業者や消費者の不安を拭えないALPS処理水の海洋放出(方針)の見直しを求めます」意見書を提出しました

2023.9.21

2023年9月21日、パルシステム東京は経済産業大臣と水産庁長官に意見書「漁業者や消費者の不安を拭えないALPS処理水の海洋放出(方針)の見直しを求めます」を提出しました。

 

2023年9月21日

経済産業大臣 西村康稔 殿
水産庁長官  森 健  殿

 

漁業者や消費者の不安を拭えないALPS処理水の海洋放出(方針)の見直しを求めます

 

生活協同組合パルシステム東京
代表理事 理事長 松野 玲子

 

 私たちパルシステム東京は、平和を基本とし「『食べもの』『地球環境』『人』を大切にした『社会』をつくります」を理念に掲げ、約53万人の組合員が、安心して暮らせる持続可能な社会の実現を願い、事業と活動をしている生活協同組合です。私たちは2011年東京電力福島第一原子力発電所の事故後、未来への責任と地球環境全体への責任を自覚し、エネルギーの使用を「減らす」、原子力発電を「止める」、再生可能エネルギーへ「切り替える」を基本方針として、原子力発電に頼らず再生可能エネルギーへの転換による資源循環型社会の構築を目指しています。これまでも事業活動や組合員家庭における省エネルギーの推進、脱原子力発電運動、地域と協同した再生可能エネルギー普及活動に取り組んでまいりました。

 

 上記の立場に基づき私たちはこれまでも、原発事故に係るALPS処理水の海洋放出について、漁業者や消費者の不安を拭えないことから反対意見を表明してきました。こうした中2023年8月24日の放出開始は、2015年の「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という文書での約束が順守されておらず、大変遺憾です。

 

 ALPS処理水は市民が接する生活環境に排出されるべきではありません。放出は30年以上の期間を要するうえ、長期的な海洋環境やあらゆる生命の健康に与える影響は分かっていません。さらに、タンク内の処理水の7割にトリチウム以外の放射性物質が基準を超えて含まれていることが明らかになりました。政府は二次処理によって基準値以下にしたうえで放出するとしていますが、それに含まれる放射性物質の総量は示されていません。

 

 海洋放出に対し、国内外の多くの市民が懸念を抱いています。環境影響への実害及び不安が広がれば、漁業者のくらしが脅かされることは間違いありません。全国漁業協同組合連合会は海洋放出にあたり「反対であることはいささかも変わりはない。国家的見地から国が全責任を持って放出を判断したとはいえ、今、この瞬間を目の当たりにし、全国の漁業者の不安な思いは増している」(抜粋)との会長コメントを表明しました。

 

 東京電力福島第一原子力発電所の事故から12年が経過しても、廃炉に向けた作業がどれくらいの期間を要するのか、どのような措置を講じるのか、いまだ明示されていません。またその間、東京電力の情報提供の姿勢がたびたび批判され、多くの関係者はそれによる不信感を解消できないままでいます。海洋放出が漁業者や消費者のさまざまな不安や懸念が拭えていないまま開始されたことを強く認識すべきです。

 

 以上の理由からALPS処理水の海洋放出を停止し、国と東京電力が全責任をもって他の手段を検討し、見直すことを強く求めます。

以上

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