【明日への種まき】個人の「心がけ」や「ガマン」のエコ活動から、 集団で社会に働きかけるアクションへ。 前向きなマインドチェンジを起こすとき。
気候危機は知っていても活動する人は少ない…環境問題への関心をどう広げるかを聞きました
国立環境研究所の「対話オフィス」に勤める宮﨑紗矢香さん。大学3年でスウェーデンのSDGs視察ツアーに参加した際、グレタ・トゥーンベリさんらの学校ストライキ場所を偶然通り過ぎたことがきっかけで、気候変動問題に関心をもったそうです。グレタさんの「気候危機に今すぐ行動するかどうかが私の全人生と子どもや孫の人生に影響します。今すぐ行動するかどうかでもたらされる結果は、私や将来世代にはどうすることもできません」というスピーチ(2018年)を聞き、環境問題は‟人生問題”と考えるようになりました。
「私は、もともと自然愛好家でもなく、環境問題に関心をもてない人の気持ちがわかります。自然が好きな一部の人が気にかける問題というより、私たちの将来を左右する命にかかわる問題ととらえると、多くの人にとって他人事ではなくなると思います」と宮﨑さん。
そして、「政府がカーボンニュートラル宣言(2020年)をしてから、SDGsも広まり共通言語が生まれ、日本での意識も変わってきたと感じます」と続けます。
「ただ、エコバックやマイボトル持参など個人の心がけだけが奨励されがちで、環境問題の原因となる根本的な社会構造に対して声をあげることはアクションとして認識されていません。波風立てることを避けようとする国民性なども関係しているのかも」とも。「“地球沸騰化”といわれる今、心がけだけではどうにもできない瀬戸際にきています。一人ひとりのガマンや節約よりも、集団で社会に働きかけるアクション、たとえばマーチや署名に参加するほうが大きな効果をもちます。これからは発想をかえて、よい意味で肩の力を抜いてみんなで行動していきましょう」とまとめました。
宮﨑紗矢香さん
1997年生まれ。国立環境研究所「対話オフィス」所属。5月に出産し、親として新たな視点での環境問題への取り組みが期待される。