活動レポート
シリーズ「しあわせの経済」を地域から「おだやかな革命」上映&トーク~エネルギを地域に取り戻す~
2019.10.20
2019年9月21日(土)、グローバル経済とは異なる暮らし方や価値観を紹介する4回連続講座の第3弾「映画『おだやかな革命』上映&トーク~エネルギを地域に取り戻す~」を開催。69人が参加しました。
映画「おだやかな革命」予告編
映画「おだやかな革命」は、原発事故後に福島で酒造当主や酪農家が立ち上げた電力会社、集落存続のために岐阜県郡上市・石徹白ではじまった小水力発電、首都圏の消費者と地方の農家などが連携して進める秋田県にかほ市の市民風車を舞台に、自然エネルギーによる地域再生を映し出す物語。
都市生活者や地方への移住者、被災者がそれぞれの地域で取り組むエネルギー自治の活動を通じて、お金やモノだけではない、生きがいや喜びに満ちた暮らしを映し出し、これからの時代の「豊かさ」を問いかけます。
映画上映後は、監督の渡辺智史さん、飯館電力・専務の近藤恵さん、スローコーヒー代表の小澤陽祐さんにお話をうかがいました。
「3.11後、お金には代えられないものを思い知った」、「一人一人がおだやかな革命家。誰かと一緒に何かをやってみることがローカルな生き方のはじまり」など、ゲストの力強いメッセージに共感の輪が広がりました。
「自分たちの暮らしの在り方を自分たちで決めていく自治が映画のテーマ」と話す渡辺智史さん。
「東京と地方という二極対立で語られることが多いけれど、今回の映画の取材を通して、東京にもコミュニティがあることに気づいた。ローカルは場所ではない。顔の見える関係の中で生きていれば、そこがローカル。」という言葉に、東京在住の参加者から勇気をもらったという声も聞かれました。
東日本大震災発生後、福島県で続けてきた有機農業を廃業し、飯館電力で再生可能エネルギーの発電事業に取り組む近藤恵さん。
「目指すものは、再生可能エネルギーを増やすことではなく、それによって自立すること。原発事故後、エネルギーは全て依存していたことに愕然とした。お金があっても幸せにはなれない。それを福島はよく表している」。震災、原発事故を経験した近藤さんの言葉は胸にずっしりと響きました。
オーガニック、フェアトレードの豆を使い自家焙煎にこだわった「スローコーヒー」の代表・小澤陽祐さん。
「コーヒー豆を育てるには森林を切り開いてコーヒー農園にするのが一般的。でも、スローコーヒーが扱う豆は、木を伐採することなく森の中にコーヒーの木を植える農法で育てられている。現地の住民は鉱山開発の動きがある中、お金ではなく森と共存できる生き方を選んだ。これこそ「しあわせの経済モデル」。」と話す小澤さんの言葉から持続可能なくらし方のヒントをもらいました。
参加者同士、感想や想いをシェアする交流の場も。それぞれの想いを伝えあいました。
会場では、スローコーヒーの販売ブースや、パルシステムでんきの紹介ブースも並び、トークを聞いたあと、身近でできるアクションを起こす場にもなりました。
渡辺智史さん プロフィール
映画監督。山形県鶴岡市生まれ。東北芸術工科大学卒業。
卒業後、ドキュメンタリー映像制作に従事。2012年にドキュメンタリー映画『よみがえりのレシピ』を公開。「おだやかな革命」(18)、「YUKIGUNI」(19)などが全国の劇場でロードショー公開されている。地域課題に真摯に向き合う、ソーシャルデザインとしての映像制作を探求している。
近藤恵さん プロフィール
飯舘電力株式会社専務取締役。1979年東京生まれ。基督教独立学園在学中に農業に関心を持つ。筑波大学二学群生物資源学類を卒業後、千葉の有機農家で1年研修。福島県二本松市で2006年新規就農。3年間の兼業時代を経て、2009年から専業で成り立つようになったが、3.11に遭遇。
小澤陽祐さん プロフィール
スローコーヒー代表、ナマケモノ倶楽部共同代表。
1976年千葉県松戸市生まれ。明治学院大学卒業。1999年よりスロームーブメントに関わり、2000年スロー社を設立。【オーガニック】【フェアトレード】のコーヒー豆のみを【自社焙煎】することに特化したコーヒーブランドを展開。現在、千葉と岐阜県郡上の二拠点で、スローなコーヒーのあるライフスタイルを提案中。