お知らせ
「ノウフクたしざん」で「6次産業化」⁈ | 練馬区で活動する「NPO法人たしざん」の農福連携の取り組みを紹介します
2021.3.10
全国各地で広がる「農福連携」の取り組みをご存じですか?
「農福連携」とは農と福祉をつないで、「障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組」のことを指します*。障がい者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあるとされ、全国各地で取り組みが広がっています
「農」+「福祉」のきっかけは?気になるその効果も ~NPO法人たしざんの場合~
東京都練馬区内で福祉作業所やパン工房などさまざまな事業と活動を展開している「NPO法人たしざん」(2017年4月設立)は、この「農福連携」に積極的に取り組んでいる団体の一つです。農作業と障がい者福祉を結びつけるきっかけについて、代表の前田さんは次のように振り返ります。
きっかけは、7年前に家族で始めた体験農園。障がいを持つ息子は何も出来ませんでした。例えばトマトの収穫では青いトマトも赤いトマトも全て収穫してしまいました。
でも毎年繰り返し、根気よく寄り添っていく内に、数年後には、本人も「あか・・・」と言いながら赤いトマトだけを収穫できるようになってきました。他にも細かい作業や鍬の使い方もとても上手です。
引用元:たしざん福祉作業所HP https://tashizan-knight.crayonsite.net/p/6/
その後、農福連携を実現するまでに数々の困難がありましたが、勉強会を重ね、協力いただける農家の方との出会いにも恵まれて、2020年5月から「ノウフクたしざん」を始動。
天候等に左右されるという難しい側面もありますが、屋外での作業は運動不足解消や体力増強にもつながり、利用者の皆さんからも好評。また受け入れる農家さんにとっても、いつもは基本的に一人で作業しているところ、わいわいと一緒に作業ができて、細かな種まきや除草、収穫作業などを楽しんで取り組む姿は励みにもなっているそう。
練馬の名物野菜と言えば「練馬大根」
初見の人には、なんだこれは!?となる驚きのサイズ。
当然、この長さとなれば引っこ抜くのも重労働。青首大根の数倍の力が必要ともいわれるそうです。今では栽培面積が少なくなっていますが、一部の農家や市民が種を残すべく栽培に取り組み少量ながら収穫されています。
広く知られている食べ方は沢庵漬けですが、たしざんでは現在、練馬大根を乾燥加工した、食品添加物不使用の切り干し大根を販売中。(※数に限りがある為、限定販売)
「ノウフクたしざん」での効果として、次のようなエピソードもあります。
毎回作業をする上で「見通し」を持たせることができる事や「反復性」があり、それが利用者さんの安定性をもたらすのではないかと考えています。
職員と利用者さんは、収穫する際に野菜の大きさについて毎回、確認作業をするのですが、例えば「これはまだ小さいよね」とか「これは大きいから大丈夫かな」とかいった会話があるのですが、こういうやりとりを繰り返していくうちにコミュニケーションも自然ととれていく様になった利用者さんもいます。今では職員がその場にいない時でも農サポーターさんともよくコミュニケーションがとれています。
引用元:たしざん福祉作業所HP https://tashizan-knight.crayonsite.net/p/6/
1次産業(生産)×2次産業(加工・製造)×3次産業(販売)=「6次産業化」へ
さて、このような取り組みを通じて収穫された野菜の販売も自ら行ってきた「NPO法人たしざん」ですが、コロナ禍では対面販売が厳しい状況が続いていました。
そこで、かねてからあったフードロスの課題と感染防止のため対策を一挙解決するため、2020年末に食品乾燥機を導入してへの加工を開始。この2月からは通信販売も開始して、活路を見出しています。食品添加物無添加の「乾燥野菜」の他にも、用途色々で便利な「乾燥くだもの」にも挑戦。
あわせて2017年6月立ち上げの「ふくしパン工房たしざん」でこだわりの素材と天然酵母を使用して丁寧に作られた、グルテンフリーのパンやシフォンケーキも好評です。
農林漁業の生産から加工・製造、そして販売にまで総合的かつ一体的に推進して地域資源に新たな付加価値を生み出す取り組みのことを「6次産業化」と呼びます*。
「NPO法人たしざん」の「農福連携」からの「6次産業化」へのチャレンジはまだ始まったばかり。今後も持続的な活動を通じて、この取り組みへの共感が広がっていくことが期待されます。
(取材協力・写真提供:NPO法人たしざん、取材・編集:パルシステム東京広報室)
ご本人の働きたい気持ちがあれば、たしざん福祉作業所なら、可能です。障害区分は問いません。
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パルシステム東京は市民活動助成基金を通じて、「NPO法人たしざん」に2017年と2020年に助成を行っています。
市民活動助成基金とは、組合員が商品やサービスを利用することでうまれた剰余金をもとに、誰もが安心して暮らしていける社会と地球環境をめざす市民活動を資金面で支援するしくみです。行政では解決しづらい問題に取り組む団体に資金面で支援をおこない、助成団体とパルシステム東京のネットワークを広げることを通じて、よりよい地域社会作りに貢献することを目的としています。