活動レポート

身近なくらしの視点から『人権』を語り合う「安田菜津紀さんとトークライブ」を開催しました。

パルシステム東京は2021年12月13日、「安田菜津紀さんとトークライブ ~コロナ禍、学校教育、ジェンダーなど身近なくらしの視点から~」と題し、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんと、月刊『世界』編集長の熊谷伸一郎さんが「人権」について語り合うイベントを開催しました(事前投稿199件、当日参加は組合員・役職員含む135名が参加)。

[講師プロフィール]

講師:安田 菜津紀(やすだ なつき)氏

1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

©Dialogue for People

ファシリテーター:熊谷 伸一郎(くまがい しんいちろう) 氏

1976年生まれ。岩波書店『世界』編集長。著書に『金子さんの戦争』(リトルモア)、『なぜ加害を語るのか』(岩波ブックレット)など。

開催前には、参加者から寄せられた「これって変!」の声を紹介。「説明がつかないルールが学校という狭い社会でまかり通っていることが、互いを監視し合う空気を作り出していることにつながっていると思います」などのコメントが流れ、トークイベントでも取り上げられた。

安田菜津紀さんによるインスピレーショントーク & 熊谷伸一郎さんとのフリートークより

ウィシュマさんについての取材を続ける、フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん

前半は「ウィシュマさんの命から考える -今、入管で何が起きているのか」と題して、昨年3月に名古屋入管の収容中に亡くなったスリランカ人女性ウィシュマさんについての取材をもとに安田さんの講演。

「日本では在留資格を失うと強制退去の準備期間として入管に収容されます。司法の介在もなく、身体の自由を奪い拘束しているのです。なかには7年以上、留め置かれた人もいて、国連などからこういった無期限収容は拷問にあたり、国際法違反と勧告されても改善されていません」と話す安田さん。平和な国というイメージの日本ですが、「ウィシュマさんを取材した半年間、日本は人権を守る国だろうかという疑問がわきました」と述べました。

司会とファシリテーターを務めてくださった岩波書店「世界」編集長・熊谷伸一郎さん

熊谷さんも「その国の人権の状況は、一番弱い立場におかれた人々の人権がどういう状況かを見ればわかる」と話し、問題の根底に人権教育があるのではないか、と問いかけます。

安田さんは「誰でもちょっと苦手だな、共感できないなって人がいると思うけれど、そういう人なら何をしてもいいのか…。そこをカバーしていくのが人権教育なんだろうと思います」と続けました。