【明日への種まき】「誰かが犠牲になるのが介護?」 ひとりで抱え込まず、後悔しない、 そんな介護を続けるひとつのパターン

「誰かが犠牲になるのが介護?」 ひとりで抱え込まず、後悔しない、 そんな介護を続けるひとつのパターン

父親の介護のリアルを伝えるYouTube「兄のぼる【父の介護クエスト】」をまとめた、『頑張らない介護』(KADOKAWA刊)の著者、のぼるさん。「介護って正解はないと思います。ただ、どの道を選んでも後悔しないことが大事」と話した(2024年6月)

わがまま放題の父親に“振りまわされる介護”から、 “頑張らない介護”に。支えは家族と行政サービス

介護の日常ってどんなもの?どう親と向き合えばいいの?多くの人がいつかはなんらかの形で直面する問題ですが、介護は未知で不安なものです。ユーチューバー・のぼるさんは介護で感じた思いを吐き出したいと、YouTube『兄のぼる【父の介護クエスト】』を配信。2024年2月には書籍を出版しました。

約20年間、ひとり暮しだった父親がある日、脳梗塞で倒れたことから、介護が始まりました。父親自身は貯金も老後の準備もゼロ、年金も未払いが続いたため受給額は月々2万円という状況で、結局、のぼるさんが介護費用を負担することに。病院からタクシーで逃亡するなど、父親に振り回されるのぼるさんを見ても、姉と弟は介護から距離をおきます。「自分の親なのに…と思っても、彼らの考えは受け入れるしかありません」

俺を強制するな!

俺を強制するな!

病院へ連れていこうとするのぼるさん、窓枠につかまり「行かない!!」とキレる父親…。YouTubeでは介護の実態を伝えている

その時点の介護度は要介護Ⅰ、認知症もなしとの認定でしたが、自身の介護知識はゼロに近いレベルだったため、行政をフル活用することに。父親もケアマネジャーの説得で訪問介護やデイサービスなどをしぶしぶ受け入れ、のぼるさんの週2回の実家通いは1回に。「プロのアドバイスは頼りになります」

 

家族の支えにも感謝するのぼるさん。「僕がひとりで抱え込んでいたとき、妻は『私がなんとかしなくちゃ』と思ったそうです。僕が身体がフリーズするほど苦手な申請書類の作成をしてくれたり…。彼女の協力もあり、ほどよく頑張らない介護にすることができました(笑)」

さらに「もし僕に介護が必要になっても、子どもたちには仕事を辞めないでほしい」と話します。「子どもたちには自分の人生を生きてほしいから。それが介護されることになったときの僕の気持ちだと思う」としめくくりました。

(取材は2024年8月9日現在)

YouTube「兄のぼる【父の介護クエスト】」(登録者数約9万人)

YouTube「兄のぼる【父の介護クエスト】」(登録者数約9万人)

「誰かが犠牲になるのが介護?」 ひとりで抱え込まず、後悔しない、 そんな介護を続けるひとつのパターン