お知らせ
今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)に対する意見書(パブリックコメント)を提出しました
2023.1.20
2023年1月19日、パルシステム東京は、経済産業省資源エネルギー庁へ今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)に対する意見書(パブリックコメント)を提出しました。
2023年1月19日
経済産業省資源エネルギー庁
電力・ガス事業部原子力政策課 パブリックコメント担当 御中
今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)に対する意見書(パブリックコメント)
生活協同組合パルシステム東京
代表理事 理事長 松野 玲子
私たちパルシステム東京は、平和を基本とし「『食べもの』『地球環境』『人』を大切にした『社会』をつくります」を理念に掲げ、約53万人の組合員が、安心して暮らせる持続可能な社会の実現を願い、事業と活動をしている生活協同組合です。
「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」は、GX実行会議における議論等を踏まえ、今後の原子力政策に係る主要な課題と、その解決に向けた対応の方向性、政府及び原子力事業者等の関係者による行動の指針を整理する文書ですが、原発再稼働、運転期間延長、次世代革新炉の開発・建設など、「原子力への依存を可能な限り低減」としてきた従来のエネルギー基本政策から原発推進に舵をきる内容です。
また、提案からパブリックコメントまでの時間が余りにも短く、各地で公聴会を開き国民の声を聞くという大切なプロセスが欠けています。
「再稼働への総力結集」「既設炉の最大限活用」など、エネルギー基本計画の「可能な限り原発依存度を低減」に大きく逆行する指針に対し、以下の点から反対します。
1.「エネルギー基本計画」に大きく逆行しています。
「第6次エネルギー基本計画」では、「原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、原子力への依存を可能な限り低減する」としていましたが、新たに示された「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」では、「再稼働への総力結集」をはじめとする原発推進の方向性が強く打ち出されています。政府によって掲げられた「第6次エネルギー基本計画」にも大きく逆行する矛盾を抱えており整合性がありません。
2.「利用と規制の分離」を無視し、運転延長を許容する指針は受け入れられません。
延長を認める運転期間については20年を目安とした上で、以下の運転停止期間については運転期間から除外することとしています。A.東日本大震災後の法制度(安全規制等)の変更に伴って生じた運転停止期間(審査・準備期間を含む)、B.行政命令等に伴って生じた運転停止期間、C.裁判所による仮処分命令等に伴って生じた運転停止期間(上級審等で是正されたものに限る)」。原子力を推進する立場の経済産業省が原発の運転延長に関して認可を行うことは、原発事故の教訓を踏まえて議論された「利用と規制の分離」を蔑ろにし、原発事故前の状況に戻ることになります。また、停止中の原発についても経年劣化のリスクが生じることも含め、経年劣化のデータの公開とリスク評価の開示を求めるとともに、経年劣化に対する安全対策を検討し合わせて情報開示を求めます。
3.「次世代革新炉」の開発の前に「バックエンド問題」を解消すべきです。
「次世代革新炉」の研究開発については、税金をはじめとした巨大な公的リソースを費やすことになり、原発を新設すれば、さらに数十年にわたり原発を動かし、解決不能な核のごみを長期にわたって出し続けることになります。さらには、ここでも掲げている「バックエンドプロセスの加速化(廃炉の円滑化、最終処分の実現)」を遅らせる要因にもなり、再稼働や既設炉最大活用を含めて両立するものではありません。
4.「核燃料サイクル」は破綻しています。
「核燃料サイクルの推進」については、これまでの「高速増殖炉もんじゅ」及び「六ケ所再処理工場」は長年、多額の費用を費やしてきましたが、成果が上がらず破綻状態にあります。新たに、「核燃料サイクルの推進」を打ち出すのであれば、これまでの失敗に対する真摯な総括と責任の所在を明らかにしたうえで同じ過ちを繰りかえさない対策を求めます。
使用済みMOX燃料の熱量は高く、移動できるようになるまでに100年以上、原発敷地内のプールで冷却しなければなりません。現在日本国内で使用済みMOX燃料を処分できる施設が無い中で推進は現実的ではありません。
以上
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