お知らせ

「食品表示基準の一部改正案」について消費者庁に意見書を提出しました

2022.11.10

2022年11月10日、パルシステム東京は「食品表示基準の一部改正案」について消費者庁に意見書を提出しました。

 

 

2022年11月10日

消費者庁食品表示企画課 御中 

 

 食品表示基準の一部改正案に関する意見について

 

生活協同組合パルシステム東京

理事長 松野 玲子 

 

 私たちパルシステム東京は、「『食べもの』『地球環境』『人』を大切にした『社会』をつくります」を理念に掲げ、約52万人の組合員を擁する生活協同組合です。パルシステムでは遺伝子組み換え技術は環境と健康に影響する懸念があることから反対の姿勢を表明し、遺伝子組み換え原料不使用の商品開発や、不分別原料の切替えを、生産者・メーカーと協力して進めています。

 このほど消費者庁で策定された「食品表示基準の一部改正案」の②について、遺伝子組み換え食品の流通を助長し、輸入作物が6割以上の日本の食にあって、ますます遺伝子組み換え食品を避けられないことになる恐れがあるため、本改正案に関して意見を提出します。

 

 

①「アレルギー原因物質を含む食品である「くるみ」については、現在、表示を推奨する品目としているが、即時型食物  アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査の結果等から表示が必要との方針を得たため、アレルギー表示の対象品目である特定原材料として「くるみ」を追加することとする。」に関する意見

 

 アレルギー表示の対象品目である特定原材料として「くるみ」を追加することについては賛成です。アレルギーによる健康被害実態調査では、木の実類の割合が増加し、小麦を抜いて主要3大原因食物の一つとなった等を踏まえると妥当であると考えます。

 

②「今後、厚生労働省による安全性審査を経て、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を産生させるために遺伝子組換えが行われたなたねに由来する食品が国内に流通することが見込まれることから、遺伝子組換え表示制度における特定遺伝子組換え農産物としての表示の対象に当該なたねを追加することとする。」に関する意見

 

 現行の遺伝子組み換え表示制度の問題点は表示義務対象の範囲が限られていることです。遺伝子組み換えDNA・タンパク質が残存し、科学的検証が可能と判断された品目だけを表示対象としていることが問題であると考えます。表示義務のない醤油や食用油、さまざまな食品添加物などにも幅広く使用されているにもかかわらず、表示されないことにより消費者の知る権利が失われています。2020年9月の農水省農業資材審議会飼料分科会の報告書では、当該なたねは「従来のキャノーラと同様に搾油用としての利用が見込まれる」とあり、表示義務のない食用油として、消費者が知らない間に口にする可能性もあります。

 また、市民団体の全国調査では、すでに流通が承認されている遺伝子組み換えなたねの国内での自生や近縁植物との交雑が報告されています。当該なたねが流通することで同様の事象が発生し、生態系にさらなる影響を与えることが懸念されます。作物の遺伝子の多様性は私たちの将来の食を守るものです。

 消費者の知る権利・選ぶ権利を保障するために、上記理由から当該なたねの表示対象への追加は当然とした上で、流通するすべての遺伝子組み換え作物への表示の義務化を求めます。

 

以上

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