活動レポート
食の安全学習会 「ゲノム編集食品、基礎から学び、考えよう~パルシステムの方針とは~」
2023.10.30
9月23日(土)、講師に農民連食品分析センターの八田純人さんを迎え、ゲノム編集食品について学ぶ学習会を開催しました。(参加者:オンライン56組 会場:10組)
ゲノム編集食品の基礎、問題点とは?
ゲノム編集技術の安全性には危機感が必要!
ゲノム編集は、ゲノムを構成するDNAを切断したり、別の遺伝子を書き換える技術で、食の分野では品種改良を効率的に行ったり、新しい機能を備えた食品の開発などに活用されています。八田さんは「近年、研究が進んでいるゲノム編集技術については安全性に問題があり、普及が進む現状に危機感を持たなければいけません」と話します。
遺伝子組み換え食品は、カルタヘナ法(※1)による規制の対象となり、国による安全性審査や表示義務(一部対象外)が必要になりますが、ゲノム編集食品のうちノックアウト型(※2)ではそういった審査や表示義務が必要ないため、研究者にとっては縛りが少なく、技術開発が進んでいます。
(※1)カルタヘナ法:遺伝子組換え生物等の使用により、生物の多様性へ悪影響が及ぶことを防ぐための国際的な枠組み。日本でも、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(通称「カルタヘナ法」)により、遺伝子組換え生物等を用いる際の規制措置を講じている。
(※2)ノックアウト型:DNAを切断するのみで新たな遺伝子を組み込まないタイプ。切断した上で遺伝子を組み込むノックイン型は、従来の遺伝子組み換え食品と同様の審査・表示が必要。
ゲノム編集食品にはどんなものがあるのか
2020年12月、日本で初めてのゲノム編集食品、高ギャバトマトが解禁されてから2023年10月現在まで、3種類のゲノム編集食品が流通しています。また、2023年3月には、新たにワキシーコーンの届け出が受理されました。ワキシーコーンについては「加工して食品添加物や飼料に用いられる可能性もあるため、消費者の目には見えない形で流通する危険性もある」と危惧します。
今後の対策について
八田さんは、「ゲノム編集食品についても表示義務制度が必要です。環境問題・エネルギー問題を解決する方法として技術開発が進んでいますが、その根底にあるのはビジネスによる儲けのためです。国はゲノム編集食品について、制限・監視する態勢を考えていかなければいけません!」と警鐘をならしました。
パルシステムの方針について
パルシステム連合会 安原室長からは、2023年4月に策定されたパルシステムの「ゲノム編集技術応用食品に対する方針」についてお話しいただきました。
パルシステムはゲノム編集食品に反対!
(1)ゲノム編集食品の不使用を追求します。
(2)ゲノム編集食品の表示や届出の義務化、食品安全性審査及び情報の公開を求める運動に取り組みます。
パルシステムでは、ゲノム編集食品に反対の姿勢を示すとともに、この基本方針に沿って産地や取引先と協働して、ゲノム編集食品の不使用を追求していきます。また、ゲノム編集食品には表示義務がないため、原材料の確認が難しいという課題に対しては、国に表示の義務化を求める運動に取り組んでいきます。
ご参加いただきありがとうございました
参加者からは、「ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いや、ゲノム編集食品にはどんなものがあるのかが理解できました」「遺伝子操作の是非や問題点だけでなく、私たちの食生活のあり方が大きく左右されるテーマだとわかって有意義でした」「パルシステムのゲノム編集食品に反対する取り組みに期待します」等の感想をいただきました。
パルシステム東京では、引き続き「食の安全」についての情報発信を続けていきます。
学習会のダイジェスト動画
動画時間11:01