活動レポート
<2024.1.12(金)開催>緊急開催 Night Peace Cafe♪Vol.3 「イラクからみたパレスチナ」
2024.1.22
パルシステム東京は2024年1月12日(金)、「Night Peace Cafe 『イラクからみたパレスチナ』」を開催しました。講演会当日は会場とオンライン、合わせて97名が参加しました。
講師のJIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)海外事業担当スタッフ斉藤 亮平氏、長谷部 貴俊氏に支援活動や支援を行っている中で感じる課題や現状についてお話ししていただきました。
JIM-NETのイラク支援への想い
JIM-NETは、「わたしたちの豊かな暮らしのために、不条理を押し付けられている子どもたちの命を助けたい」という団体理念を掲げ、2004年に設立されました。
イラクに拠点を置く理由としては、「イラク攻撃を支持した責任」、「劣化ウランが使われたこと※(被爆国として、兵器に反対しなかったこと)」による日本の責任を受け止め、緊急性が重視される人道復興支援で、いまだ手を差し伸べられていないがん患者への支援を行いたい想いがあります。
JIM-NETの活動内容にはイラク小児がん支援を中心に、難民支援や、福島支援も行いながら、根本的な問題を解決するための現場の声を政策提言に繋げています。
※イラクでは、1991年を境にがんや急性リンパ性白血病などにかかる子どもたちが増えていることから、
1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争で使用された劣化ウラン弾や大気汚染に起因されると言われていますが、証明できるようなデータはなく、2回の戦争と10年続いた経済制裁で、調査ができていません。
JIM-NETのイラクでの支援活動とは?
春はケシの花、秋にはアザミの花が鮮やかなイラク北部の都市アルビルにJIM-NET事務所はあり、小児がん支援として「医薬品支援」「貧困患者支援」「心のケア」を行っています。
イラクでは度重なる戦乱で、医療インフラが不安定な状況が続いており、経済状況の悪化による、慢性的な医薬品不足や医師不足も深刻です。
病院に医薬品が届かない状況が続いているなか、抗がん剤などの医薬支援を行っています。
現地を歩いていると、戦争の傷跡が残っており、ガラスもない壊れたままの家も見られます。
交通網が限られているなか、治療を受けるためにタクシーで通院しなければならない家庭もあります。原油高などからタクシー代も上がっており、移動にかかる費用が払えないから治療が受けられないということを避けるために、交通費の支援も行っています。
イラクでは「がんはうつる」「祖先が悪いことをしたから」と、大人でも誤解をしている人がいる中で、偏見により仕事に就けないことがあるのも現状です。
子どもたちへの学習フォローアップの他、就学・復学前の同級生や教師、校長先生にもがんについての正しい理解をしてもらうための学習を行います。
学習支援は病院内で院内学級を開催しており、勉強以外にもアートも教えています。
「子どもたちの絵を見ていると、とてもユニークな絵が多いです。入院が長引く中、自由への憧れや美しい花を描く子どもが多いですね。」
と、病気をしていてもこんなに明るい絵を描いていることや、絵を描くことも病気の回復にも役立っていることを教えてくれました。
募金キャンペーンのチョコレート缶には、イラクやシリアの子どもたちが描いた絵がパッケージに
イラクの人々は日本の動きをみている。私たちが考えていくこととは
2023年10月27日に行われた国連総会で人道回廊の設置や「人道的休戦」を求める決議案を採択し、121か国が賛成した中、日本は棄権しました。
アルビル現地では、日本の動きにはとてもがっかりしているという声を耳にし、時には言及を求められることもあったといいます。
「日本にいると中東の動きは見えにくいものだが、多くのイラクの人々は日本の進む動きを見ています。
いい意味の誤解も含めて平和的な日本でどういう動きをしているのだろうと」
では、私たち日本人はどのような行動をすべきかの問いに、
「日本や国際社会のメディアはヨーロッパやアメリカだけでなく、いろいろな地域での出来事を伝えて欲しい。
そして、実際に周りの友達と話して欲しいです。太平洋戦争、イラク戦争、アフガン戦争、安保保障がどうだったのかと」
政治のことを話すのはタブー視される風潮もあるが、世界が私たちの日常とどう繋がっているか話すことが第一歩であるという2人のメッセージで締めくくられました。
■企画協力
JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)
■講師
斉藤 亮平 氏(JIM-NETスタッフ)
■講師
長谷部 貴俊 氏(JIM-NETスタッフ)
お問い合わせ
paltokyo-seisaku@pal.or.jp
月曜日~金曜日: 9:30 ~ 17:00