活動レポート

【食の安全学習会】遺伝子組み換え食品って何?

1. 遺伝子組み換え食品学習会

学習会では、八田さんに遺伝子組み換え(以下GM)の基礎や問題点、新しい情報についてお話しいただきました。

※GM=Genetically Modified(遺伝子組み換え)の略称

講師の八田純人さん

・遺伝子組み換えって何?

遺伝子組み換えは生物から取った遺伝子を別の生物に組み換え、目的とする新たな性質を持たせる技術のことです。「病害虫に強い」「日もちがよい」「特定の除草剤をまいても枯れない」など、作物に特定の性質を持たせることが出来ますが、生物多様性への影響、安全性への不安など問題が指摘されています。

 

日本で流通可能な品種

・現在の日本では・・・

「現在、日本では9種類のGM作物が流通していますが、ほとんどの方は、GM作物を見たことも食べたこともないと答えます。ですが、食用油や飼料、加工品などに形を変えて食卓に登場しているので、気づかないうちに食べている方がほとんどです」と八田さんは言います。また、「商業目的での開発が進んでいるので、遺伝子組み換えの種がグローバル企業の特許種子に置き換えられ、今後、さらに世界での流通が拡がる恐れがあります。私たちは、遺伝子組み換えについて正しい情報を得たうえで、商品選択することが大切です」と遺伝子組み換え食品の広がりに警鐘を鳴らしました。

2.ナタネの自生調査

①そもそもナタネの自生調査って何?

菜種油の原料として輸入されたGMナタネが、荷揚げ港から製油工場にトラックなどで輸送される間に幹線道路沿い等にこぼれ落ちて自生していることがあります。GMナタネが自生すると、近縁植物との交雑で新たな遺伝子組み換え種ができ、生物多様性に影響が出てしまう恐れがあります。また、特許がかかった遺伝子配列が交雑することで、自家採種などを行うと紛争に繋がる可能性も考えられます。

ナタネ自生までの流れ

ナタネ自生までの流れ

パルシステム東京では都内の幹線道路等での実態を把握すると共に、パルシステムを利用する組合員の皆さんにGM作物の野生化について知っていただく取り組みとして、2020年度から調査に参加しています。

(過去4年間で85検体の調査を実施)

 

②実際にやってみた!

組合員の皆さんが事前に採取した菜の花が遺伝子組み換えでないか、検査を体験!

お子さんと一緒に参加する組合員も多く、楽しい雰囲気で検査を行うことができました。

 

葉っぱをすり潰す様子

葉っぱをすり潰す様子

葉っぱをすり潰す様子

検査に参加した皆さん

3. 調査結果

11検体の調査を行い、結果は全て「陰性」でした。調査したナタネの中に、遺伝子組み換えのものはありませんでした。

 

生育場所

特徴

植物種

採取日

検査日

RR結果

LL結果

参加者区分

1

東京都江戸川区本一色

学校の近く

セイヨウアブラナ

4/13

4/13

陰性

陰性

組合員

2

東京都北区王子

街路樹の脇に1本だけ咲いていた

セイヨウナタネ

4/12

4/13

陰性

陰性

組合員

3

東京都調布市

甲州街道が横切っている河原。

セイヨウナタネ

4/7

4/13

陰性

陰性

組合員

4

東京都八王子市鹿島

道の脇の空き地に2本咲いていた

セイヨウナタネ

4/13

4/13

陰性

陰性

組合員

5

東京都千代田区

大通りがある土手沿い

セイヨウナタネ

4/13

4/13

陰性

陰性

組合員

6

東京都渋谷区宇田川町

公園通り

セイヨウナタネ

4/14

4/14

陰性

陰性

組合員

7

東京都清瀬市

大通り沿い

セイヨウアブラナ

4/7

4/7

陰性

陰性

組合員

8

東京都八王子市

幹線道路

セイヨウアブラナ

4/26

426

陰性

陰性

組合員

9

東京都東大和市上北台

畑の隅

セイヨウアブラナ

4/13

4/13

陰性

陰性

理事

10

東京都昭島市朝日町

大通り沿い

セイヨウナタネ

4/7

4/10

陰性

陰性

職員

11

東京都昭島市玉川町

幹線道路の脇

セイヨウナタネ

4/7

4/13

陰性

陰性

職員

【組合員が採取したナタネ】

歩道に咲く菜の花

歩道に咲く菜の花

歩道に咲く菜の花

大通り沿いに咲く菜の花

4.総評

今回の調査では11検体すべて「陰性」という結果になりました。

ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。本企画にご参加いただいた組合員からは以下のような感想をお寄せいただきました。

・八田さんの分かりやすい講演のおかげで遺伝子組み換え食品の問題点についてよく理解できたので、子どもたちにしっかりと伝えていきたいと感じました。

・遺伝子組み換え食品が気づかないうちに私たちの食卓に入っていることを認識して、食品を選ぶ目と知識を養う必要があることを感じました。

・子どもと一緒に学びながら、検査ができて大変良かったです。

 

パルシステム東京として5回目のGMナタネ自生調査に取り組みましたが、

今後も組合員の皆さまにGM作物の野生化について知っていただく取り組みとして「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」と連携し、調査に参加していく予定です。

 

遺伝子組み換えについてさらに知りたい方は

食ナビ5月号でもチェック!

7月31日追記

2024年7月30日(火) 遺伝子組み換えナタネ自生調査運動20周年記念講演会・報告会が開催されました

パルシステム東京も参加し、調査報告を行いました。

全国各地で調査団体による調査が行われ、全国で53件の陽性が報告されています(擬陽性含む)

全国の調査結果は以下の通りです。

2024年度 遺伝子組み換えナタネが見つかった都道府県

(2024年遺伝子組み換えナタネ自生調査報告会資料より) 

  検体数 RR(ラウンドアップ耐性) LL(バスタ耐性) 両耐性 陽性計 陽性率

北海道

24 0 3 0 3 13%
宮城県 24 3 0 0 3 13%
茨城県 10 1 0 0 1 10%
東京都 32 1 2 0 3(擬陽性) 9%
神奈川県 53 2 0 1 3 6%
静岡県 30 1 0 2 3 10%
愛知県 8 4 0 0 4 50%
兵庫県 23 2 1 0 3 13%
岡山県 4 2 2 0 4 100%
山口県 12 1 1 0 2 17%
福岡県 60 13 8 0 21 35%
熊本県 76 1 1 0 2 3%
宮崎県 10 1 0 0 1 10%
合計 690 32 18 3 53 7.7%

※合計の検体数と陽性率は、陽性が検出されなかった都道府県の検体数も含まれています。

※上記集約は遺伝子操作食品を考える中部の会を除く