活動レポート
福島スタディツアー2019
2020.1.30
パルシステム東京では、東日本大震災発生後、「3.11を忘れない」を基本視点に『福島スタディツアー』を実施しています。
2019年度は11月1日(金)~11月2日(土)に開催し、31人が参加しました。
【1日目】富岡町・浪江町を訪れ、被災地の「今」を知る
はじめに、原発事故の影響により避難指示区に指定され、平成29年より北東部の帰還困難区域を除いて避難指示が解除された「富岡町」を訪れました。
震災時、常磐線の富岡駅は津波被害で駅舎が損壊。新しく再建された駅舎を訪れ、現在の様子を見学しました。震災後、常磐線は東京駅から富岡駅まで開通していますが、その先は現在も未開通で、富岡駅から浪江駅まではシャトルバスでないと移動ができません。一日も早く富岡駅から浪江駅の線路がつながるように願うばかりです。
震災後に富岡商店街の店主たち8名で立ち上げた駅前の「富岡ホテル」。代表の渡辺吏さん手作りのお弁当を食べながら、震災後のホテル設立のお話を聞きました。
その後、福島スタディツアーでは初めて訪れる「浪江町」へ。2017年3月11日に建立された「浪江町東日本大震災慰霊碑」に参拝。慰霊碑のある高台からは、請戸漁港等見渡せました。
震災前は浪江町で農業を営む傍ら、浪江町婦人消防隊として活動していた岡洋子さん。震災後、福島市に避難して2014年から「浪江まち物語伝え隊」として紙芝居の上演をしています。浪江町の昔話だけでなく、震災時の消防団の話などをテーマとし、要請があれば全国に出向き上演活動を続けています。
岡さんは、2018年に自宅の倉庫を改装し、地域の方々の交流の場として「O CAFE」をオープン。多くの方々が訪れ、今では、なくてはならない場所になっています。私たちも紙芝居を聞いた後、手作りのお菓子や、美味しいコーヒーをいただきながら、交流しました。
【2日目】持続可能なエネルギーを生み出す現場を見学!
2日目は、原発に頼らない社会を目指し、自分たちの手で持続可能なエネルギーを作り出そう!と挑戦をはじめた人々を訪れました。
震災後、観光客が激減した土湯温泉では、「地熱発電による町おこし」を目指し、地熱バイナリー発電の取り組みが進んでいます。事業を手掛ける「元気アップつちゆ」の浅野さんの説明に、熱心に耳をかたむけました。
この地熱発電で作りだした電力は、「パルシステムでんき」となって、パルシステムの組合員の家庭に届けられています。
続いて、有機農産物を栽培するパルシステムの産直産地「二本松有機農業研究会」では、大豆畑の上に立ち並ぶソーラーシェアリングを視察しました。ソーラーシェアリングは、農地の上にソーラーパネルを並べ、適度な光を取り入れながら栽培と発電を両立する取り組みです。
2年前の福島スタディツアーで訪問した際、代表の大内さんは「原発事故を受けて、エネルギーを人まかせにしてきたことを悔やんだ。だからこそ自分たちでエネルギーを作ることに挑戦したい」と夢を語っていました。それから2年後、その夢を実現されたことに、参加者も感動の思いで、畑を後にしました。
訪問した先々で、未曾有の原発事故と向き合い、故郷の再生に向け歩き始めた福島の人々の力強さを目の当たりにしたスタディツアー。パルシステム東京はこれからも被災地を「忘れない」取り組みを続けていきます。