活動レポート
愛と協同に生きた賀川豊彦の松沢資料館の見学とセミナー|ファシリテーター中級講座(PART5)
2019.10.19
松沢資料館の見学とセミナー
第5回の中級講座は、松沢資料館の見学とセミナーを開催しました。
上北沢駅を降りて線路沿いから住宅街に入ると教会が見えてきました。その横に賀川豊彦記念松沢資料館があり敷地内は土曜日の朝ということもありとても静かでした。
築90年の会場では杉浦学芸員が「賀川豊彦の協同組合思想と実践」についてビデオ上映を織り交ぜて話しました。後半にはファシリテーターがその話を聞いて問いを上げていきました。中級講座第5回の課題が、《問いを磨く》の実践で、賀川豊彦の妻の生き方まで多岐にわたりました。
当日は、話を聞いて問を立てていくことで、一人ひとりの問いから学びが広がることを体験しました。
この日は協同組合を研究する大学教授や中国からの留学生も一緒に学び、休憩時間にはパルシステムのお菓子を食べながら交流しました。
賀川豊彦 松沢資料館ホームページ:https://zaidan.unchusha.com/
参加者の感想を紹介します。(あいうえお順)
・賀川豊彦さんはお名前だけで、よく知りませんでしたが、松沢資料館の杉浦副館長からの体系的な説明で、その生涯と多くの偉業について理解することができました。先駆者としてのいばらの道を、知識と諦めない気持ちに、カリスマ性もあいまって、全力邁進。協同組合という新しい経済のしくみ、経済だけでなく、社会の枠組み作りにも寄与したのだと思いました。中でも、「救貧より防貧」という精神で労働運動を展開し、結局、無抵抗・非暴力を主張する賀川さんは激しい非難を浴び、労働運動から撤退することになりましたが、時代は異なれ、「防貧」の考え方は、自立した消費者を育てる思想だと思いました。お話しいただいた杉浦副館長は、大変な熱量で賀川さんへの愛いっぱいの気持ちだったので、私は話にどんどんひきこまれていきました。参加者からの質問に対しても、丁寧にお答えくださり、質問の周辺事項についても詳しく教えてくださり、より理解を深めることになりました。また、同じ話を聞いていても、それぞれが疑問に思うことは異なっていて、そうした違いも、話の理解を深める助けになりました。質問することで、相手をよく知ることにもなりますし、質問されるともっと話したくなるものです。当日の杉浦副館長とのやりとりの中から、「もっと話したくなる気持ち」「もっと相手を知りたいと思う気持ち」を考えながら、中級講座のインタビューに取組みたいと思いました。ありがとうございました。(おかりん)
・中級講座2回目の参加となりました。松沢資料館において、貴重な大変興味深い講座でした。まず、会場そのもの、記念礼拝堂がとても素敵な空間でした。副館長さんの膨大な知識量に圧倒された、有意義なお話でした。最初の15分のVTR、それから賀川豊彦氏について詳しい略歴、この辺までで約1時間以上、たいへんわかりやすく、また興味深いお話でした。肝心の協同組合の話が、時間の関係上、駆け足となり、また個人的に集中力を欠く時間帯となってしまったのが残念でした。1.賀川氏の世界的評価 2.賀川氏の生涯 で、少し休憩時間をとり、3.以降の協同組合の話をもう一度、集中してお聴きしたかったです。その意味では、やはり最初に設定した、トータルで3時間が必要だったと思われます。いずれにしても、この機会に、賀川資料館の訪問と講座の拝聴という機会に恵まれことに感謝します。(KeKe)
・「生協の父」と言われる賀川豊彦氏について、どのような学びができて、それをどのようにファシリ活動につなげることができるのか、とても興味深く松沢資料館見学に参加させていただきました。落ち着いたお声で、熱く語られる、杉浦学芸員ワールドに、あっという間に引き込まれ、賀川が日本のみならず、海外でも知られる人物であったこと、家庭や健康には恵まれずとも、人との出会いや勉学の道が開かれ、妻ハルと共に、さまざまな困難を乗り越え、人々を助ける中から、人々が団結してできる力に気づき、提唱に至った理論は、保険や農協、信用組合等7種の協同組合によって平等で平和な真の社会をめざす、壮大な構想であったことを知りました。賀川が自らスラム街に入り、尽くすところから行き着いた、協同組合による社会。それは「精神運動」でもあること、「愛他的」「個人も社会も幸福に」という言葉が印象に残っています。経済だけでなく、精神的にも、ひとりひとりの生活向上や世界平和に向けた協同組合活動の中に、子育て個育てワークショップがあり、同じ先を目指すことを思うと、まだまだ学び足りない思いです。ぜひまた、もっと多くのファシリと共に杉浦学芸員のお話を伺い、深め合いたいと願っています。(しょうこ)
・副館長の杉浦さんの熱い思いが伝わってくるお話に、時間を忘れて聞き入ってしまいました。参加者全員からの質問にも、とても丁寧にご回答くださり、質問内容にとどまらず、そこに関わるたくさんのお話を聞かせていただきました。賀川さんの功績だけではなく、そこへ至った賀川さんの生い立ちや心境の変化など、表面的な事柄にとどまらないお話によって、とても理解が深まりました。貴重な機会を作っていただいてありがとうございます。(ちさと)
・地域支援課「お互いさま」という言葉が浮かびました。困っているとき、苦しいとき、もしくは嬉しいとき、喜ばしいとき、きっと賀川氏は「お互いさま」の思いを軸に生きたのではないかと。貧困や病い、犯罪、暴力、その問題の本質を賀川氏は自ら動くことによって改善していくために渦を起こす。その渦が協同組合という大きなうねりになっていく。「お互いさま」だったが故に共に歩みたいと思う人々が彼の周りに集ったのではないかと思いました。今パルシステム東京(生協)でファシリテーターとしてワークを企画する時、その「お互いさま」がやはり生きているのだということを実感しています。(ほしこ)
子育て個育てワークショップ事務局