活動レポート
「遺伝子組み換えの菜種」が密かに育っている?! ~遺伝子組み換えナタネ自生調査報告~
2020.7.3
1. 「遺伝子組み換えナタネ自生調査」とは?
パルシステム東京も加盟している「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(※)では、毎年遺伝子組み換えナタネ自生調査に取り組んでいます。
食用の遺伝子組み換え作物は日本では栽培が許されていませんが、菜種油の原料として輸入された遺伝子組み換えナタネが、荷揚げ港から製油工場にトラックなどで輸送される間に幹線道路沿い等にこぼれ落ちて自生していることがあります。これまでの調査で全国各地に自生し、近縁植物との交雑も報告されています。
パルシステム東京では都内の幹線道路等での実態を把握すると共に、パルシステムを利用する組合員の皆さんに遺伝子組み換え作物の野生化について知っていただく取り組みとして、今年から調査に参加しました。
(※)遺伝子組み換え作物の作付け禁止や表示の徹底を求めて活動するキャンペーン会議。
遺伝子操作食品(遺伝子組み換え、ゲノム編集など)、GMOフリーゾーン運動(生産者などにGMOフリーを宣言してもらう運動)、遺伝子組み換えナタネ自生調査、グリホサート検査運動などの調査報告や意見交換を行なうほか、署名活動や学習会に取り組んでいます。
2. 組合員が調査に参加!(5委員会、2名の組合員)
パルシステム東京では、パルシステムを利用する組合員が集まってグループをつくり、地域で自主的に活動する委員会活動を行っています。この委員会に、身近な場所に遺伝子組み換えナタネが自生していないか調査の協力を呼びかけたところ、5つの委員会から申し込みがありました。
申し込みいただいた委員会を対象に説明会を実施し、各委員会に検査キットを配付。幹線道路脇など不自然な場所に生えているナタネについて、採取・検査をしていただきました。
また、パルシステム東京の食の安全に関する情報誌「食べものナビゲーター」に自生調査協力のお願いを掲載し、組合員に広く呼びかけました。2名の組合員から検体を送付していただき、本部職員にて検査を行いました。
3. あやしいナタネを見つけよう!ナタネの採取方法
申し込みいただいた委員会には、以下の方法でナタネの採取をお願いしました。
【ナタネの採取方法】
①対象のナタネを見つけたら、周辺の環境がわかる遠景の写真、ナタネの花と葉がわかるアップの写真をそれぞれ何枚か撮影します。自生場所の住所、場所の特徴、採取年月日などを記録します。
②手袋(軍手など)をし、直接触れないようにして枝(花と葉を数枚以上含む)をちぎって、チャック付きビニール袋などに採ります。
③採種日に検査しないのであれば、冷凍保存しておきます。
【委員会・組合員が採取したナタネ】
4. 意外と簡単!ナタネの検査
遺伝子組み換えナタネかどうか見極めるには簡単な検査で判別可能です。検査方法をご紹介します。
①検査キット:左からつま楊枝、試験管、試験紙、スポイト。それに水を使います。
試験紙は、ラウンドアップ(※)耐性、バスタ(※)耐性を確認するため2 種類あります。
※ラウンドアップ:グリホサートを主成分とする除草剤。
※バスタ:グルホシネートを主成分とする除草剤
②試験管に検体の番号を記入し、スポイトで清浄な水を試験管の6分目ほど入れます。
③採取したナタネの葉を重ね、試験管とそのフタとの間に挟み、パンチする要領で葉の一部を試験管内に落とします。
④つま楊枝で検体を試験管に押し込み、水が薄い緑色になるまで混ぜます。
⑤2種類の試験紙を試験管に差し込みます。
⑥試験紙を差し込んでから5~10分ほどで結果が出ます。クロマトグラフの原理で、樹液を含んだ水が試験紙に吸い上げられます。基準のところまで水が達すると、そこに基準線が現れます。
基準線よりも下にもう一本紫色の線が明確に現れた場合(二本線)、その検体は「陽性」=遺伝子組み換えナタネ、ということになります。また基準線一本だけしか現れない場合には「陰性」=遺伝子組み換えでないナタネ、になります。写真は一本線なので「陰性」です。
5. 【検査結果】 今回は全て「陰性」でした
委員会から3検体の調査報告、組合員から2つの検体提供がありました。結果は全て「陰性」、つまり遺伝子組み換えのナタネではないという結果でした。詳細は以下の通りです。
(※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2委員会は調査活動ができませんでした)
【調査結果一覧】
採種日 |
生育場所 |
検査結果 |
|
ラウンドアップ耐性 |
バスタ耐性 |
||
4/17 |
足立区西加平神社前交差点 |
陰性 |
陰性 |
4/4 |
渋谷区恵比寿西 線路脇 |
陰性 |
陰性 |
4/27 |
練馬区旭丘 線路付近 |
陰性 |
陰性 |
4/16 |
豊島区西巣鴨 駐車場付近 |
陰性 |
陰性 |
4/21 |
東急「洗足池駅」駐輪場前(大田区東雪谷) |
陰性 |
陰性 |
6.総評
今回の5検体の調査ではすべて「陰性」という結果になりました。ご協力いただいた委員会の皆さま、組合員の皆さま、ありがとうございました。
今回、パルシステム東京として初めて遺伝子組み換えナタネ自生調査に取り組みましたが、調査継続を望む声を組合員からいただきました。今後も組合員の皆様に遺伝子組み換え作物の野生化について知っていただく取組みとして「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」と連携し、この取り組みに参加していく予定です。
以下、調査活動にご協力いただいた委員会、組合員からの感想です。
「新型コロナウィルス感染拡大の影響により外出がままならず、調査対象検体のセイヨウアブラナを探せなかった。」
「なかなか怪しいナタネは見つからなかった。カラシナが多いことに気づいた。」
「ナタネがあまり咲いておらず、かなり歩いた。」
「ナタネを見つけたらすぐに調べられるので、調査は継続してほしい。」