活動レポート
東日本大震災復興支援シンポジウム「震災から5年、これから私たちができること」
2016.3.5
パルシステム東京は2016年3月5日(土)、東日本大震災 復興支援シンポジウム「震災から5年、これから私たちができること」を開催しました。
今回のシンポジウムは津波被害にスポットをあて、市民による復興支援活動の実例を紹介。被災地を忘れないという思いとともに、自分たちのコミュニティやネットワークで、できることに取り組んでいくことの大切さと成果を共有しました。
トークセッション
◆被災メーカーを応援する商店街
震災で大きな被害を受けた水産加工会社・㈱木の屋石巻水産が、遠く離れた世田谷区・経堂のコミュニティの支援を受けながら立ち直る姿を描いた、絵本『きぼうのかんづめ』が、2012年、発行されました。絵本の仕掛人は、テレビなどでコメディライターとして活躍する須田泰成さんです。須田さんは、「震災前から経堂商店街では、いろんな飲食店が木の屋のサバ缶にほれ込み、さまざまなメニューを展開していました。そこへあの震災。崩壊した工場にたくさんの缶詰が泥だらけになっていると知った居酒屋のおかみさんの、『洗えば中味は大丈夫』のひとことで、支援活動がスタートしました」ときっかけを話しました。
また、木の屋石巻水産・営業部の鈴木誠さんは、「震災後に取引先が離れるなど、苦戦を強いられましたが、みなさんの応援が何よりの励みになり、復興をすすめることができました」と感謝しました。
◆食べて応援から絵本の発行へ
飲んで食べての応援は絵本の発行へと展開します。――ぼくたちのくらしが、とつぜん変わった――などの文章も担当した須田さんは、「絵本だからこそ、子どもからお年寄りまで震災の被害と復興を知っていただける」と、発行の理由を話します。
「絵は、応援してくれていた、イラストレーターの宗誠二郎さんにお願いしました。厳しい状況を的確に描きながらも、穏やかな表現で描いてくれました」との須田さんの言葉に、「津波直後をどう描くか、苦心しました」と答える宗さん
また放送タレントの松尾貴史さんは、絵本の朗読とともに、「支援と聞くと、難しく考えがちですが、このおいしさを残したい、そんな思いからスタートすればいいのではないでしょうか」と訴えました。
さらに、「震災後の木の屋石巻水産見学スタディツアーは、2年後の2013年に行いましたが、その時点でも参加はたった14名だけ」と、須田さんは関心が薄れていく状況も話します。パルシステム東京とのタイアップも考えましょうのエール交換で、午前中のトークセッションは終わりました。
福島支援カンパ
◆「いわき放射能市民測定室 たらちね」など6団体が報告
原発事故に苦しむ福島県民を支援する団体へ贈る「福島支援カンパ」。贈呈団体のひとつ、「いわき放射能市民測定室 たらちね」の古関さんは、昨年から始めた福島沖の海水を測定する活動などを報告。「漁協との連携にこだわったこの活動。風評被害を強めるだけとかなり抵抗されましたが、正しい情報を伝えることの大切さを訴え、やっと昨年の秋にスタートしました」と話しました。
2 月に実施したパルシステム東京の甲状腺検診は、「たらちね」の協力のもと開催した取り組みです。支援から始まったつながりが、新しい流れを生み出しています。
震災復興支援基金(パル未来花基金)
◆「福島こども支援・八王子」など16団体が報告
組合員が生協を利用することでうまれた剰余金をもとに、組合員が行う復興支援活動を資金面で支援する「パル未来花(ミライカ)基金」。これまでのべ30団体が基金を利用しています。
2015年度は上期に6グループ、下期に10グループへ助成しました。
そのひとつ、「福島こども支援・八王子」の宮元さんが、「関心が薄れ以前より寄付などが集まりにくくなった今、活動の継続には資金の確保は大きな課題です。『パル未来花基金』は、福島の子どもたちの保養の受け入れの継続に欠かせません」と報告するなど、この基金が組合員の復興支援活動の実現に役立っていることを確認しました。
各団体からの活動報告の後に、『大津波3・11未来への記憶(NHKメディアテクノロジー制作)』(公式サイトはコチラ)も上映されました。
参加された方々は、「被災地を忘れない」「ともに支援を続けよう」の思いを共有しました。
※本内容は、パルシステム東京機関誌「わいわい」2016年5月号「明日へそして前へ(37)」より、一部抜粋しています。