活動レポート

2014年度福島スタディツアー

2014.11.9

2014年11月7日(金)~8日(土)、「福島を忘れない」をキーワードに、「福島スタディツアー」を開催、25名が参加しました。

2013年度から始まった「福島スタディツアー」は今回で3回目。昨年は、浜通りを中心に、いわき市の他、居住制限区域の富岡町なども視察、地震と原発事故の影響で復興が遅れている、手が付けられていない現状を目の当たりにしました。

今年は、郡山市と会津を東京から大型バスで訪問。復興と自立のため避難先で起業した方、放射能の不安を抱えて子育てをしている方、風評被害に苦しむ生産者…様々な立場、視点からお話しをお聞きすることができ、今年も「見て」「聞いて」「交流する」ことを大切にしたツアーとなりました。

 

1日目:パルシステム福島郡山センター・3a!郡山・会津避難者、生産者

パルシステム福島の和田理事長から、福島の現状について報告

パルシステム福島の和田理事長から、福島の現状について報告

震災後に建てられたパルシステム福島郡山センター

震災後に建てられたパルシステム福島郡山センター

震災後に建てられたパルシステム福島郡山センター

郡山センター入口にある「こんせん君」の石像は施行業者の職人さんからの寄付

パルシステム福島の和田佳代子理事長からは、パルシステム福島と福島の現状について報告があり、「カンパなどの支援はとてもありがたい。でも、なによりも今回、皆さんが福島で見聞きしたこと、感じたことを、東京に帰って周りの方に広めてくださることが一番の応援になります」と話されました。
その後、郡山センターを視察。
震災後に建てられた郡山センターは、太陽光パネル(98.3kw)や、LED証明・蓄熱暖房機、そして震度8に耐えられる耐震性能など、震災の教訓を活かしながら、組合員活動でも利用しやすいよう、厨房や保育施設も備えた最新の配送センターです。

福島県双葉郡大熊町から会津に避難している庄司ヤウ子さん

福島県双葉郡大熊町から会津に避難している庄司ヤウ子さん

福島県双葉郡大熊町から会津に避難している庄司ヤウ子さん

工房の代表作、ぬいぐるみ『あいくー』は、大手百貨店で、化粧品会社とのコラボにも

◆人とつながる

庄司ヤウ子さんは、大熊町から避難。会津若松市で会津木綿に出会い、避難者4名とともに工房『會空』を設立し、手作り雑貨の販売を始めた。
パルシステム東京の組合員に会うために、パルシステム福島の郡山センターに来てくれ、お話をしていただきました。
震災後大熊町に一時入っった時の状況は、「自宅は、ネズミなどに荒らされ、住める状態ではありません。町は”復興を”と話しますが、私にはポーズとしか思えません。でも私には手仕事がありました。被災に立ちすくむのではなく、自分自身で動く…。そうしていると多くの人が手をのばしてくれました。その手をつないで、つないで、ここまでやってきました」と語りました。現在、住居も会津に移し仲間とともに会津の工房を担っています。

福島支援カンパ団体「3a!in郡山」を訪問

3a in郡山 代表の野口時子さん

3a in郡山 代表の野口時子さん

3a in郡山 代表の野口時子さん

放射線量の計測機器について説明をしていただいた行健除染ネットワークの鈴木洋平さん

◆一人じゃないと思える場所に

パルシステム東京福島支援カンパの贈呈先団体の一つ、「3a in郡山」代表の野口時子さん
「若いママたちは今も孤独感の中にいます。放射能対策がきちんと進まないままで「大丈夫だ」「風評を煽るな」の大合唱で、何事もなかったかのような施策がどんどん進められています。家族からも『行政が、放射能が原因では大きな病気にはならないと言っているのに、神経質すぎる』と非難されて悩んでいる方もいます。そのため、一人ひとりのお母さんでは声を上げづらくなってきています。そんな思いを吐き出すとともに、学び合い、被害実態を調査する活動をすすめています」

子どもを守るの一点で、地道でも着実に活動をしている3aの活動を、自ら望んでお手伝いしている鈴木洋平さんとともにお話を聞きました。

雪下キャベツの圃場

雪下キャベツの圃場

雪下キャベツの圃場

『雪下キャベツ』生産者の渡部雅幸さん

◆負けない

『雪下きゃべつ』の生産者・渡部雅幸さん
「風評被害を大きくしたのは生産者自身かもしれません。きちんと検査して安全性を確認しても福島産は避けるという話を県内でも耳にします。風評被害がなくならない状況は、そういう私たち福島県人にも原因があるのだと思います。しかし、安全で魅力ある作物を作れば、消費者は必ず評価してくれます。『雪下きゃべつ』は雪の中で糖度を蓄え、とても甘いきゃべつです。手間はかかりますが、自信をもって野菜作りに打ち込むことで、風評被害に対抗したい」

2日目:会津の柿・須賀川りんご園での交流

会津の柿圃場

会津の柿圃場

会津の柿圃場

あいづグリーンネットワーク事務局長の舟窪満さん

あいづグリーンネットワーク事務局長の舟窪満さんから、
「事故直後、原発から100km近く離れていても、飛来した可能性のある放射能を流すため、高圧洗浄水を1本1本の柿の木にかけました。さらに土壌から作物に放射能が移らないよう、表土の廃棄も。何十年もかけて培った豊かな土を捨てることは、生産者にとって身を切るほどつらいこと。しかし成果はあり、私たちの作物からは放射能は検出されていません」。会津の生産者の状況も含めお話しされました。

 

 

 

リンゴ園でのパルシステム福島と東京の交流

リンゴ園でのパルシステム福島と東京の交流

リンゴ園でのパルシステム福島と東京の交流

有我りんご園2代目 有我博樹さん

1987年からパルシステム福島との交流が続く、須賀川・有我果樹園のりんご畑で、パルシステム福島の組合員とも交流。りんご園2代目の有我博樹さんからは、震災の影響から美味しいりんごの見分け方まで、りんご園について様々な話をお聞きしました。

 

帰路のバス車内では、参加者から「復興のために、なにができるのかを一緒に考え、行動していきませんか」との呼び掛けもありました。
パルシステム東京では、2014年9月から復興支援活動に取り組む組合員を支援するための「パル未来花基金」を創設しました。これからも組合員、役職員が力を合わせて、東日本大震災被災者の支援に取り組みます。