活動レポート
2013年度福島スタディツアー【第1回10月編】
2013.10.5
2013年10月4日(金)~5日(土)「福島スタディツアー」を開催し、32名(パルシステム東京組合員24名、役職員8名)が参加しました。
東日本大震災で被災した地域の中でも、震災による津波に加え、原発事故の影響で、復興が最も苦しい状況にある福島県。スタディツアーは、パルシステム福島の和田佳代子理事長の「福島に来て、現状を知ってほしい」の声をきっかけに企画されました。
<主なプログラム>
●パルシステム福島からの報告
●NPO法人ふよう土2100のガイドによる現地視察と関係者からの活動報告
●原発20km圏内(双葉郡広野町・楢葉町)
●浜風商店街(久之浜)視察
●オーガニックコットン圃場での農作業
●NPO法人ザ・ピープルの活動報告
●市民の復興活動報告
パルシステム福島からの報告
パルシステム福島の安齋専務と和田理事長から、パルシステム福島と福島県の置かれている状況について、震災直後から今現在に至るまでの経過と、今なお解決されない厳しい福島の現状などが報告されました。
◆安齋専務から、「震災後の物理的な混乱は終息したが、時間の経過について、放射能汚染に対する向き合い方なども原因となって、近隣者との心情的なつながりが微妙になってきています。」
◆和田理事長からは、「福島県南端にあるいわき市は、東京の放射線量とほぼ同じ。洗濯物は屋外に干すし、家庭菜園の野菜を放射能測定してもほとんど影響がない結果です。それでも県外に避難した方が多く、人口減少が町の再生に影を落としています。」
NPO法人ふようど2100の里見喜生理事長のガイドで、立ち入り制限が解除された地域をバス(一部車外)で視察。また、復興活動に携わる関係者から活動報告をしていただきました。
◆20km圏内
除染特別地域(事故後1年間の積算線量が20mSvを超えるおそれがあるとされた「計画的避難区域」と、福島第一原子力発電所から半径20km圏内「警戒区域」)に含まれている富岡町などを視察しました。
ガイドの里見氏から、「居住可能とされた地域も、人が住んでいなかった家はネズミや虫の被害で、外観こそきれいでも、とても住める状態ではありませんでした。商店街などの生活インフラも回復していません。そのため、一旦は戻ると決意した人たちも次々と諦めています」と語られました。
◆活動報告
吉田理事長は、「“住民主体の町づくり”を大きな活動目的として、1990年12月から在宅障がい者の自立支援や、古着のリサイクル活動などに取り組んできました。震災後、行政から『衣類を提供してほしい』と要請されましたが、支援物資があるのに避難場所まで届いていない現状に愕然とし、『行政に任せていては何も始まらない。自分たちで動かなくては』と強く感じ、支援活動を開始しました。」
農家の木田さんからは、「水俣でも40年以上かかった。福島では100年以上かかるだろう風評被害とは戦っても勝てない。有機農法による綿栽培は、農産物が売れないなら、食用でないもので地域再生へのプロセスを生み出していきたいという想いではじめました。プロジェクトには、農業者、地域住民、避難者、ボランティアなど様々な人が参加してくれています。」とうかがいました。
金城さん、「復興は町づくりそのもの。復興に携わる中で感じたことは、人と人とのつながりの大切さです。初対面の支援者への警戒感を解消するのも、新しい取り組みに挑戦できるのも、人と人のつながりがあるから。それを重ねていくことで、新しい町ができると思います。」
菅野さん、「人は土から。そこを守っていくことは大事なことだと思っています。子どもたちに安全な環境を残していくことは私たちの使命。パルシステムの放射能対策を私は信用しているし、私たちの商品なら安心できると言ってくださる方がいる。嘘偽りなく信念を持ってやっていくことが、信頼を生み、今につながっているのだと思います。」
パルシステム東京では、東日本大震災発生後、被災地に寄り添った復興支援活動の一環として、組合員とともに、福島スタディツアーを続けていきます