活動レポート

「わたし」と「母」のものがたり〜息苦しさが生き苦しさにつながって〜 

“わたし”の息苦しさ、聞いてほしくて

まずは、ファシリテーターと参加者全員で輪になって着席。

安心して語ってもいい場であることを確認しあった後、呼ばれたい名前と住んでいる地域、参加理由を一人ずつ話していく。

会場のある池袋まで片道1時間半以上をかけて来た人もいて、さまざまな地域から参加者が集ったことへの驚きとねぎらいの言葉がもれる。

「この場を待ちかねていた」「この苦しさを聞いてほしい」「身近な人に話しても理解してもらえない」そんな思いが語られていくにつれ、少しずつの緊張がほぐれていく…。

皆から自然と共感のうなずきが返ってきて、「“母のしんどさ”語ってもいいんだよ」、そんな声が聞こえてくるかのようでした。

今まで必死に生き抜いてきた

次は、2グループに分かれてのグループワーク。

「わたしの母は…」「わたしと母は…」。

ワークシートに書き出した内容の読み上げを皮切りに、それぞれの“母娘関係”が語られていく。

子どもの頃からの、母によってもたらされた傷つき体験。

怒りや悲しみの感情が交錯するとともに、「諦めるしかない」「“母を許せない”という気持ちをもう手放したい」といった切ない思いも吐露される。

自分の子どもに対しては「絶対に自分のような思いをさせたくない」といった強い思いの一方で、「母と同じことを娘にしてしまうんじゃないかという怖さがある」「自分の子育てに自信が持てない」など、自分を信じきれないことへの怖さ・つらさも同時に抱えている…。

一人ひとりの語りからは、悩み、苦しみながら努力を重ね、自分の生き方を模索し続けてきた言葉の重みが感じ取られました。

人と会って話すことの力、実感した時間

最後は再び一つの輪になって…。

お互いに思いを支え合いながら、過ごした今日のワークを振りかえる。

「自分をゆるし、母もゆるせたらいい…」「自分を大事にしたい」「勇気をもらえた」など、それぞれの気づきを言葉にし、みなで共有していく。

自らの体験を語り、聞いてもらう時間は「息苦しさ」「生き苦しさ」を少し手放し、「わたしはわたしでいい」という自己肯定の気持ちにつながったようだ。

一通り話したことでほっとした様子も伝わってくる。

時おり笑顔も垣間見えるなど、少し肩の荷が降りたかのような皆の表情が印象的だった。

コロナ第3波の緊張感が急速に高まった時期の開催で、不安はありましたが、心が疲れ切った“今この時”に苦しみを少し手放せたことは、参加者の皆さんにとって“必要”な体験だったと実感しています。

それぞれの“これから”につながる貴重なひとときでした。

参加者の声(抜粋)

・同じ思いをしている人たちとお話が出来てよかったです。コロナでこのような会が減っているので、本当に気持ちのモヤモヤを吐き出せました。

・「がんばっているからがんばらなくていいよ」という言葉に救われた気がします。「皆さんそれぞれ、苦しみを抱えながら一生懸命がんばっているんだ」「自分だけではないんだ」と思えて良かったです。

・普段話せる場がないので、話せたり共感が出来たりして、とても良かった。また機会を作ってほしい。

・自分の中だけでモヤモヤしていたことが、他の同じような立場の方々と共有できたことは、大変ポジティブな経験でした。少しだけ自分に自信が持てた気がします。

・育った環境はまちまちでも皆さん共通した痛みを持っていたりするので、一言何か話しただけでも「わかる」という安心感のようなものがありました。

会場では関連書籍を展示

会場では関連書籍を展示

2020年11月26日(金)にIKE・Bizとしま産業振興プラザで開催しました。

 

ファシリテーター:あいこ、ぶっち、かずよ(文)