活動レポート

地球温暖化、どうする、どうなる?オンライン開催「STOP!温暖化『気候変動と日本』上映会&温暖化入門セミナー」

今、地球に何が起こっているのでしょうか? これまでに経験したことがない豪雨や強大な台風の発生頻度が増加するなど、地球温暖化が加速しています。このまま地球温暖化が進むとどうなるのか、対策強化が必要な理由を、市民向け講演経験が豊富な講師に解説いただきました。

オンライン講座の様子(12/9)

オンライン講座の様子(12/9)

パルシステム東京は11月24日(火)、11月28日(土)、12月9日(水)の計3回、認定NPO法人太陽光発電所ネットワークと共催で、同法人理事で環境省:地球温暖化防止コミュニケーターの田中 稔氏を講師に招いてZoom(オンライン・ミーティングソフト)で開催しました。(開催協力:多摩のくらしを考えるコンシューマーズ・ネットワーク)

 

国際環境NGO 350.org Japan制作の短編ドキュメンタリー『Signs from Nature 気候変動と日本』を鑑賞した後、地球温暖化の現状・予測・対策などを学び、Zoomのブレイクアウトルーム機能を用いて少人数グループに分かれて意見交換をしました。多くの方は「温暖化について人と話し合える場があって良かった」と好評でした。合計73名(パルシステム東京組合員37名)が参加しました。

近年増えている集中豪雨は天災か?人災か?

近年、“これまでに経験したことがない”とか“数十年に一度の”と呼ばれるような強大な台風や集中豪雨が増えています。“異常気象”という言葉を頻繁に聞くようになったのは2014年8月の広島豪雨以降です。報道では「天災」として扱われることも多い台風や集中豪雨ですが、「実は、ただの天災ではありません」と講師は話します。一体、どういうことでしょうか…?

 

豪雨は、温暖化によって海が温まり、海面から蒸発する水蒸気が増え、水蒸気をたっぷり含んだ大きな積乱雲が連続して発生し続けることで強大化しています。また、台風は海面水温が27℃以上の海域で発達するとされていますが、海の深いところまで海水温が高くなってしまっている現在では、暴風波浪で海水がかき混ぜられても海面水温は下がらず、「非常に強い勢力」を保ったまま日本に接近する回数が増えていると指摘されています。つまり、豪雨や台風は自然災害でありながら、その強大化には温室効果ガスの増加による温暖化という人的な理由が密接に関係しているという点からは、「人災」という側面もあるのです。

出典:IPCC5次報告 技術予約(TS)より

出典:IPCC5次報告 技術予約(TS)より

今後地球はどうなるの?

温暖化といえばまず気温の上昇を思い浮かべますが、世界の1890年以降の年間平均気温では2014~2019年が上位6位を占めています。読者の皆さまも近年の40℃前後の夏の猛暑を思い出される方もいらっしゃるのではないでしょうか? それでも、意外なことに、世界の平均気温の上昇幅は産業革命前(約250年前)から現在までで約1℃とされています。

 

しかし、このまま何も対策を講じなければ、2100年には最大で約4.8℃上昇すると試算されています。ここで登場するキーワードが【Tipping Point】(ティッピング・ポイント/臨界点)です。諺にも「覆水盆に返らず」という表現があるように、臨界点を超えると地球温暖化を止められなくなり、のちの世代の災害リスクが高まるというのです。その臨界点は気温上昇+1~4℃の間にあるとされ、少なくとも今世紀中、特に2030年までの10年間で具体的な対策を行なうことが不可欠だとされています。

出典:JCCCAウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

出典:JCCCAウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

世界では「脱炭素革命」が進行中!

では、地球温暖化の具体的な対策とは、どういったものが挙げられるでしょうか。2015年、パリでは「地球温暖化の甚大な被害を防止するために、産業革命後の気温上昇を2度未満、できれば1.5度未満に食い止めるよう努力する」という世界的な合意(パリ協定)がなされました。それを皮切りに、欧米ではCO2排出量が多い石炭火力発電の全廃(2030年代まで)やガソリン車販売の禁止(2040年頃まで)、産油国が砂漠にギガソーラー(巨大な太陽光発電所)を建設、新興国でも再生可能エネルギーへの転換を国の方針として決定、など、世界中で「脱炭素革命」が進んでいます。

 

2020年12月、日本もようやく、「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」とする目標を法制化する方針を固めました。しかし、「30年先の目標宣言よりも、これからの10年間でどれだけ効果的な具体策を実施し、削減するかが重要です」と講師は指摘します。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の特別報告によれば、2030年までに40~50%以上の二酸化炭素を削減しなければ、温暖化を「1.5度未満」に留めることが難しくなり、のちの世代への負担が甚大になることすが示されています。+4度程度まで温暖化を止められなくなる可能性も高まります。言い換えると、2020~2030年が地球温暖化対策の要の10年間になるでしょう。

私たちにできることは?

それでは、私たちが今日からできることは何でしょうか? まずは、お住まいの地方自治体に「公共施設等の省エネ・再エネ導入」「市民や事業者の省エネ・再エネ促進」を要望するなど、はたらきかけていくことで、あなたの町をグリーンにしていきませんか? グリーンな地域が増えていけば、エネルギー政策転換の展望が見えてきます。

 

また、いろんな学習会に参加したり、映像、インターネット記事、出版物を読むなど、地球温暖化について知り、周りの人に伝えてみましょう。知る人が増えていけば、対策を行なう人も増えていきます。

 

最後に、自分の暮らしに「省エネ・再エネ」を取り入れていきましょう。 ご自宅で購入する電気を再生可能エネルギー由来にすることは地球温暖化防止に有効です(「パルシステムでんき」は再エネ比率85.5%※ FIT電気を含む)。省エネは使用時間が長い家電(エアコン、冷蔵庫、照明器具など)や給湯の設定を見直してみましょう。ラクして効果が高い省エネの方法は、パルシステム東京の組合員を対象に無料で「家庭の省エネ診断」を行なっていますので、ご関心があれば是非お申し込みください。

 

また、一戸建てにお住まいの方は、東京ソーラー屋根台帳(ポテンシャルマップ)(http://tokyosolar.netmap.jp/map/)でご自宅の屋根が太陽光パネルの設置や太陽熱の利用に適しているかが調べられます。

 

自分ができることから積極的に取り組んでいきましょう。

※値は2020年度計画値

オンライン講演の準備をする事務局の様子

オンライン講演の準備をする事務局の様子

オンライン講演の準備をする事務局の様子
講師:田中 稔 氏

講師:田中 稔 氏

認定NPO法人太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)理事、環境省:地球温暖化防止コミュニケーター。

※本記事は、学習会(田中氏講演)の内容を元にパルシステム東京環境推進課にて再編集しています。

パルシステム東京は、再生可能エネルギーの普及とCO2削減を目的とした家庭と事業での省エネ活動を推進しています。
今後も地球温暖化防止の情報を収集し、広く学習会などを通じてお知らせしていきます。