活動レポート
東日本大震災から10年「3.11を忘れないシンポジウム」宮城から想いを届けます
2021.3.23
2021年3月6日、パルシステム東京は、「東日本大震災から10年、『3.11を忘れないシンポジウム』宮城から想いを届けます」を、オンラインで開催しました。(132人が参加)
司会より、開催前に黙とう。次に、パルシステム東京松野玲子理事長より、開会挨拶。
第1部は、おさかなボール、おとうふ揚げなどの練り物でおなじみの(株)高橋徳治商店の代表、高橋英雄さんの講演。
第2部は、宮城県南三陸町で中学2年生の時に被災し学生の語り部として活動していた三浦貴裕さんに、廣重理事が話をうかがいました。
最後に、パルシステム東京の杉原学専務理事より、本日の感想、今後のパルシステム東京の復興支援について参加者へメッセージを伝えました。
【第1部】「震災から10年、震災時~復興に向けて~今伝えたいこと」
高橋英雄氏 プロフィール
創業1905年(株)高橋徳治商店 代表取締役
1950年石巻市生まれ
1974年:(株)高橋徳治商店入社
1980年:無添加練り製品、冷凍食品製造販売
1990年:代表取締役就任
2011年:東日本大震災発生、石巻の3工場全壊、79名全員解雇。(全国の生協の支援あり)
2013年:東松島市に新工場竣工
2018年:野菜加工工場竣工、43名のスタッフと共に頑張っている
(株)高橋徳治商店ホームページ
【3.11は忘れない】
※当日の講演内容を講師の許可を得て公開しております。
「震災では、ひとり、ひとり辛すぎる物語がある。これからの話しは、重くくらいものです。それでも、明日を歩く。風化はしょうがない、考える事をやめないでください」と、はじまった高橋英雄さんの講演は、多くのメッセージを私たちに語りかけました。
東日本大震災時の宮城県の状況。震災時、一人暮らしをされ工場の後片付け、避難所の世話人を経験されての想い、事業再開についても悩まれ、地域で必要とされる会社として立ち上げるまでの葛藤。再開してからの従業員の方たちとともに、「震災前をはるかに超えるものを作り、メッセージを込めるんだ」との妥協をゆるさない信念。昼食も入らないくらいの試食と廃棄が続いたのが2,600日を超えました。安心安全なものを食べてもらいたいと無添加にこだわり、メッセージが込められた商品が、私たちに届いています。
また、震災から2年目に出会った引きこもりの若者たちとのかかわりは、新工場のハーブ畑の草取りに無償就労体験。彼ら彼女たちと接するにつれ、社会的弱者、社会の課題が見えてきた。就労支援、居場所の必要性を感じ、借金を抱えての野菜加工場の建設には職員の大反対があったそうです。でも、教えるのにも手間がかかる若者たちとの触れ合いによって、職員の心にもいい変化も見られるように。
7年前の新工場落成式で「この地で力になり、笑顔になり、自ら光になります」と語った高橋さん。「こころの復興」はまだまだかかります。二歩すすんで、三歩さがり、また新たな二歩をすすみ、三歩さがる。ともに迷いながら、スタッフ、若者とともに一緒に。
最後に、「組合員のみなさんも震災を『わがこと』に。自分にできることを考えることを止めず、新たな10年をつくろう」という、メッセージをもらいました。いったん立ち止まって考え、暮らし方をかえる、考え方をかえる、までい(真手)に私たちも生きていきましょう。
【第2部】トークセッション 南三陸町から
第2部は、震災後気仙沼の椿の植林ボランティア活動にも携わっているパルシステム東京の廣重理事がモデレーターとなり、南三陸の三浦さんとのトークセッション。
昨年完成した「南三陸町震災復興祈念公園」内には、防災庁舎と築山「祈りの丘」、町内の犠牲者約800人の名簿が納められている「名簿安置の碑」等がある
廣重剛史氏プロフィール
1976年生まれ
パルシステム東京理事(復興支援委員)
目白大学社会学部准教授
一般社団法人カメリア 代表理事
https://camellia311.wixsite.com/home
三浦貴裕氏プロフィール
宮城県南三陸町(戸倉地区)出身,24歳。
東日本大震災時、中学2年生で被災。
避難所指定されていた高台の中学校まで津波が押し寄せ、近くの山へ逃げ助かった。幸い家族は無事だったが、自宅は津波によって全壊の被害を受けた。
高校からは、自身の被災体験を伝えようと語り部活動を開始。高校卒業後は、地元を離れ仙台の大学へ進学。防災士の資格を取得し、学内防災サークルでも活動してきた。また、全国の学生を対象にした南三陸学生ツアーを4年間企画、運営。全国さまざまな場所での震災語りや防災・減災を伝える活動をしてきた。大学卒業後は、縁があり、地元南三陸町にある宿泊研修施設に入社し、現在に至る。
【南三陸を語る】
トークセッションのコーディネートは、廣重剛史さん。それぞれの自己紹介の後、三浦貴裕さんが被災した当時の状況、その後の学生時代の語り部活動の話しを南三陸町の動画を交えながら、現在の南三陸町の現状をお話しいただきました。
震災は、地域・人によって体験したことは違いますが、未来に向けて前向きに頑張っている姿に勇気をいただいた時間でした。
※当日の講演内容を講師の許可を得て公開しております。
参加者のアンケートから
【高橋英雄氏へのメッセージ】※アンケートより、一部抜粋。
・ご自身の重い体験を通し、人として他の人々に何ができるかを自問しながら前に進まれた姿に感銘しました。おっしゃられた言葉一つ一つに賛同するとともに、私自分がこの先できることを見直す機会にもなりました。本当にありがとうございました。震災はまだまだ終わっていないという気持ちは、東京にいる私も強く思っており、風化させてはいけないと強く感じています。
【三浦貴裕氏へのメッセージ】
・非常時に中学生で救助活動をされたこと、そして20代で意見と使命感を持って活動されていて、とてもしっかりされていて驚きました。身近な子どもたちと何が違うのだろう。きっかけがあれば変わるのか。コロナが明けたら、家族で南三陸に行きたいです。がんばってください!語り継ぐ、記録に残すことは大事ですね。震災を経験していない子どもたちにもぜひ、伝えてください。