活動レポート
身近なくらしの視点から『人権』を語り合う「安田菜津紀さんとトークライブ」を開催しました。
2022.2.1
パルシステム東京は2021年12月13日、「安田菜津紀さんとトークライブ ~コロナ禍、学校教育、ジェンダーなど身近なくらしの視点から~」と題し、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんと、月刊『世界』編集長の熊谷伸一郎さんが「人権」について語り合うイベントを開催しました。(事前投稿199件、当日参加は組合員・役職員含む135名が参加)
[講師プロフィール]
講師:安田 菜津紀(やすだ なつき)氏
1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。
©Dialogue for People
<関連サイトのご紹介>
・Dialogue for People ウェブサイト
・Dialogue for People YouTubeチャンネル
・安田菜津紀さんによる「note」はコチラ
・Dialogue for Peopleへのご寄付はコチラから
ファシリテーター:熊谷 伸一郎(くまがい しんいちろう) 氏
1976年生まれ。岩波書店『世界』編集長。著書に『金子さんの戦争』(リトルモア)、『なぜ加害を語るのか』(岩波ブックレット)など。
<関連サイトのご紹介>
・「世界 2021年11月号」(安田菜津紀さんによる寄稿はP.161~)
・「世界」バックナンバーはコチラから
開催前には、参加者から寄せられた「これって変!」の声を紹介。「説明がつかないルールが学校という狭い社会でまかり通っていることが、互いを監視し合う空気を作り出していることにつながっていると思います」などのコメントが流れ、トークイベントでも取り上げられた。
冒頭ではパルシステム東京の杉村剛是・業務執行理事から「基本的人権の尊重が意図する個人の尊厳は社会でも家庭でも、今ではネット上でも一人ひとりが多様な存在のまま尊重されなければなりません」と強調したうえで、コロナ禍でくらしや社会が変化し、「新たなルール」や「既存の歪み」に苦しめられている方が大勢いらっしゃることに言及。一方で、ブラック校則の見直しやジェンダーレス標準服の導入など、「おかしい」と声を挙げたことがきっかけとなって多様な意見交換がオープンになり、良い方向に変わっている様子に勇気づけられることも多く、本日の企画が『人権』に関して広い視野で理解を深めていく機会になればと話しました。
安田菜津紀さんによるインスピレーショントーク & 熊谷伸一郎さんとのフリートークより
前半は「ウィシュマさんの命から考える -今、入管で何が起きているのか」と題して、昨年3月に名古屋入管の収容中に亡くなったスリランカ人女性ウィシュマさんについての取材をもとに安田さんの講演。
「日本では在留資格を失うと強制退去の準備期間として入管に収容されます。司法の介在もなく、身体の自由を奪い拘束しているのです。なかには7年以上、留め置かれた人もいて、国連などからこういった無期限収容は拷問にあたり、国際法違反と勧告されても改善されていません」と話す安田さん。平和な国というイメージの日本ですが、「ウィシュマさんを取材した半年間、日本は人権を守る国だろうかという疑問がわきました」と述べました。
熊谷さんも「その国の人権の状況は、一番弱い立場におかれた人々の人権がどういう状況かを見ればわかる」と話し、問題の根底に人権教育があるのではないか、と問いかけます。
安田さんは「誰でもちょっと苦手だな、共感できないなって人がいると思うけれど、そういう人なら何をしてもいいのか…。そこをカバーしていくのが人権教育なんだろうと思います」と続けました。
さらに二人は、校則やネットでの誹謗中傷など、日常生活でのさまざまな視点から人権を語り合いました。
※当日のアーカイブ動画は2022年1月末までの期間限定で公開されました。現在は公開を終了しています。
新聞などでしか読んだことのない内容を、第一線でご活躍されている方の生の声で聞くことができ、身近に感じることができました。
事前質問やチャットの声を積極的に取り上げて話を進めることで安田さん、熊谷さん、参加者のトライアングルの一体感が生まれた気がします。
安田さんの「聞く力」もさることながら、熊谷さんの進行がごく自然で肩ひじ張らない雰囲気を作り出していました。
外国人の人権が軽視されてることがよくわかりました。外国人の人権が軽視されるということは、外国人の問題だけではなく、日本人の人権も軽視されることにもつながってると思いました。
入管による長期に渡っての人権侵害、「手」としては欲しいけれど「人」としては要らないとあからさまな技能実習生への態度等々に目をつぶってよいのか。
自分事として考え、学び、行動していかなければと強く思った2時間でした。