活動レポート
スマホやカメラで撮影したチョウの写真が、世界的価値ある自然調査の基礎に!「2018年度生きモニキックオフ研修会」開催
2018.6.1
5月12日(土)東京大学駒場リサーチキャンパスで「中央大学・東京大学・パルシステム東京協働プロジェクト『市民参加の生き物モニタリング調査』キックオフ研修会」を開催しました。当日は約30名が参加し、モニタリング調査の方法、生物多様性保全の取り組みについて学びました。
生き物モニタリング調査とは
調査員となった組合員が撮影した身近なチョウの報告をデータ化し、生物多様性の現状や温暖化の影響を調べる「市民参加の生き物モニタリング」。2009年からスタートし、2018年度で10年目となります。この間、約3万8千件のデータを蓄積。市民参加の精度の高い調査として、学術的にも高く評価されている、中央大学・東京大学・パルシステム東京の協働プロジェクトです。
昆虫から知る身近な自然
はじめに中央大学 保全生態学研究室協力員 須田 真一氏から「昆虫から知る身近な自然」というタイトルで、これまでのモニタリング結果やチョウの生息地の変化などについてご講演いただきました。
なぜ、チョウをモニタリングするの?
モニタリング調査は、月2回程度、身の回りのチョウの撮影をし、調査票に撮影時のデータを記入して報告するものです。この調査が主にチョウを対象にしているのは、下記のような理由があります。
・分布や生態、生息環境などがよくわかっている。
・環境の変化をよく反映するため、確認された種類から生物多様性の変化や 温暖化の影響などを知ることができる。
・翅(はね)に模様に特徴があり、名前を調べやすい。
・市街地でもそれなりの種類が生息している。
最近、東京で熱帯のチョウをよく見かけるのは、地球温暖化の影響?
須田さんは都会に住めるチョウ、都会では少ないチョウ、都会では住めないチョウ、最近特に東京で増えているチョウなど、チョウをグループ分けして解説しました。その中の「最近特に東京で増えているチョウ」については、
「日本列島を大きく北と南に分けると、東京はちょうど北と南の境に位置しています。最近特に東京で増えているチョウの中に、『ツマグロヒョウモン』がいます。このチョウは熱帯に生息するチョウです。他にも長崎のマテバシイしか食べない『ムラサキツバメ』や、常緑ミカン類しか食べない『ナガサキアゲハ』などを最近見かけます。これらは地球温暖化の影響だけでなく、最初はホームセンターなどで販売するための植木について人為的に連れてこられたのではないかと考えられます。
『ツマグロヒョウモン』の大好物、スミレの一種である『パンジー』は寒くなっても東京にはあり、『ムラサキツバメ』のマテバシイは今街路樹でよく使われています。
連れてこられてしまったけれど、天敵もいないしエサもある。東京は意外と住みやすかったようです。」と話されました。
さあ、きょうから生きモニ調査員!
講演後、参加者全員で東京大学構内を調査しました。
カメラのかまえもバッチリ!
「チョウの撮影ができなくても、チョウを見た場所の写真でもOKです。
『この花にこんな特徴のチョウがいた』『調査したけどチョウがいなかった』という報告は、「チョウがいた」という報告と価値は一緒です。」と須田さん。
どんな昆虫でも知っている須田さんの説明がとても楽しくて、時間があっという間に過ぎました。
参加者のアンケートから
参加した組合員からは、
「今まで、知らなかったことがたくさんありました。これから1年間楽しく調査したいと思います。」
「数回目ですが、その都度興味深いお話を聞くことができます。また自分自身の関心事も変化してくるので、別の視点から見ることができます」
「とても勉強になり、日常の自然観察に興味が持てました。子どもも面白い企画だったと思います。」
などの感想がありました。
パルシステム東京は今後も生物多様性保全の取り組みを継続していきます。