活動レポート
ピースフェス 2018 映画「コスタリカの奇跡」上映&トーク~平和な国に軍隊は必要?~
2018.8.20
パルシステム東京は8月18日(土)、武蔵野スイングホールにて「ピースフェス2018」を開催しました。
午前は映画「コスタリカの奇跡」上映&トークセッション、午後は平和スタディツアー参加者による報告や、連携する国際協力NGO団体によるワールドバザールを開催。盛りだくさんのプログラムで、一人ひとりが平和を実現するための一歩を感じる、そんな一日となりました。(参加者数:組合員・役職員含む171名)
軍隊を持たない国「コスタリカ」を知る
1948年に軍隊を廃止し、軍事予算を社会福祉にあてる道を選んだコスタリカの奇跡に迫ったドキュメンタリー映画「コスタリカの奇跡~積極的平和国家のつくり方~」(公式サイトはコチラ)を上映。
日本では昨今、憲法や自衛隊のあり方にも注目が集まっています。そんな中、5兆円以上に上る防衛予算はここ数年、過去最大を連続記録。これとは対照的に、コスタリカではこの70年間、軍事予算はゼロ。その分、無料の教育、無料の医療を実現し、生物多様性に富む環境先進国としてエコツーリズムを生み出し、国家を発展させてきました。
冷戦下、アメリカから再軍備を迫られても、平和を求める国民の声で結束し、中立宣言を行い、積極的な外交努力で乗り越えてきたコスタリカ。今では中米で最も安全な国ともいわれ、さまざまな指標で図られる国民幸福度調査で「世界No.1」を誇るほどに。
映画を通じてその歩みを知ることはまさに驚きの連続でした。
映画「コスタリカの奇跡」
上映後は、映画配給元「ユナイテッドピープル㈱」代表の関根健次さんから、ご家族とともにコスタリカで1年間暮らした経験も交え、コスタリカの魅力を8つのポイントにまとめて熱く語っていただきました。
①大胆、勇敢であること
②単なる平和ではなく、積極的平和国家であること
③平和を体感できること
④平和を愛する国民性がアイデンティティーになっていること
⑤国民が幸福で、コスタリカを愛し、誇りに思っていること
⑥時間が自然のリズムであること 「プラ・ヴィダ!(*)」
⑦政治が身近なこと
⑧ビジョナリーであること
*「プラ・ヴィダ」とは「美しい人生」や「純粋な暮らし」といった意味。コスタリカで挨拶に限らず、さまざまな場面で使われる言葉。
映画やトークに登場するコスタリカの方々が平和を語った言葉はどれも心に刺さるものばかりでしたので、その一部をここで紹介します。
- 「もし戦争になれば、子供が親を送らずに、母親が息子の埋葬をするようになる…」
- 「兵士の数ほど、教師を作るのだ」
- 「武器を買うためのお金は誰かのためになるの?」
- 「ムリとは事実ではなく、態度。『できる』という楽観から、信頼が生まれる」
コスタリカに魅了される逸話の数々を披露してくださった関根さんは「日本には(平和を実現するための)すべてがある。ないのは何か……『ビジョン』です!」と強調。一人ひとりがビジョンを持って実現すべき平和を語る大切さを訴えると、会場には大きな拍手が沸き起こりました。
関根 健次 氏(1976年生まれ)
ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役
一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事
ピースデー・ジャパン共同代表 1976年生まれ
戦争と平和を語り継ぐ ~平和スタディツアー報告から~
休憩を挟んだ午後のステージでは、平和スタディツアー参加者からのメッセージが発信されました。
平和の重みを知り、核兵器のない世界を
唯一の被爆国でありながら、「核兵器は必要悪」とする核抑止論もメディアを通じて聞こえてくる日本。昨年7月に世界の122カ国が署名した核兵器禁止条約にも、日本政府は署名・批准せず、背を向け続けています。
原爆投下日に合わせて毎年ヒロシマ・ナガサキを訪れる「平和スタディツアー(*)」には、今年もパルシステム東京から組合員・役職員総勢16名が参加しました。
戦後73年が経ち、被爆体験を直接聞ける最後の世代といわれる中、参加者からは「危機感をもって次世代に語り継がなくては」「戦争は絶対悪、核兵器も絶対悪」「戦争も核兵器もない平和な世界を」とそれぞれが抱いた核兵器廃絶と平和への想いが共有されました。
*日本生活協同組合連合会、広島県生活協同組合連合会共催「ピースアクション in ヒロシマ(2018年8月4~6日開催)」
*日本生活協同組合連合会、長崎県生活協同組合連合会共催「ピースアクション in ナガサキ(2018年8月7~9日開催)」
■2018年度開催報告記事はコチラ>>>ヒロシマ平和スタディツアー/ナガサキ平和スタディツアー
沖縄に押し付けられた理不尽さ
「沖縄、そして日本の平和を考える」をテーマに開催された「沖縄戦跡・基地めぐり(*)」には14名のパルシステム東京組合員・役職員が参加しました。
疎開学童を含む1,400人以上が犠牲となった対馬丸の大惨事を語り継ぐ平良啓子さんのお話を聴き、沖縄平和ガイドの瀬戸隆博さんとともに嘉数高台(普天間基地)・辺野古(テント村)・安保の見える丘(嘉手納基地)、糸数アブチラガマなどを巡った参加者からは「沖縄の過去と現在にある無念の想いを忘れてはいけない」「戦争では弱者は置き去りにされ、守られることはない」「周囲の人に伝え、沖縄に基地を押し付けている現状を変える一助になりたい」といった報告がありました。
*日本生活協同組合連合会、沖縄県生活協同組合連合会共催「第35回沖縄戦跡・基地めぐり(2018年3月28~30日開催)」
■開催報告記事はコチラ>>>第35回沖縄戦跡・基地めぐり
最後に、ヒロシマを訪れた川崎友恵・組合員理事(右写真)は、家族や友人・知人にも平和のビジョンを持って語ることを続けてほしいと呼び掛け、平和スタディツアー参加者からの発表を締めくくりました。
ステージの熱気そのままにホールイベントへ
■ワールドバザール協力団体(順不同)
AAR Japan[難民を助ける会]/APLA(あぷら)/シャプラニール=市民による海外協力の会/
シャンティ国際ボランティア会/日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)/パレスチナ子どものキャンペーン