活動レポート
学習会「上越棚田米コシヒカリと青大豆の『うめぇ~』はなし」
2023.2.20
パルシステム東京は2022年12月17日、『予約登録米 棚田米コシヒカリ』『吉川産・青大豆』の生産者「合同会社ファームみなもと」社員・山本秀一さんと、上越市役所職員の小林賢治さんをお招きして、楽しく「うめぇ~」お話を伺いました。
3年ぶりに開催された東京と上越市産地の交流企画。参加者も私たちも心躍らせながらこの日を迎えました。
「作らなければこの豆は絶えてしまう」吉川在来の大豆を山本さんが作り始めた理由
パルシステム東京限定カタログ『産地だより』に登場する商品「越後の青大豆」「青大豆・吉川産 きな粉」の原材料となるのは、上越市吉川地区の在来種の大豆。今から約30年前に山本さんが近所で農業を営むおばあさんから種を引き継いだものです。
大豆イソフラボンが一般的な大豆より1.6倍多く、糖質が高く、脂分が少ないという、非常に特徴的なこの豆を「どうにか世に出したい」と山本さんは考えました。
「在来種の豆は、種屋さんに種は売っていません。豆の種は1年放置すると発芽率が非常に下がります。発芽しなければ、その豆はこの世から消えてしまいます。
ですから、1年たりとも栽培を休むことはできません。
多くの人にこの豆を知ってもらいたくて、丸大豆しょうゆや豆腐、味噌、いりまめ、豆入りもちなどの加工品の商品開発を始めました。特にきな粉は砂糖がいらないくらいの甘さで、この大豆に向いている商品だと思います。もともとこの大豆は¨きな粉豆¨と呼ばれていたくらいです。」(山本さん)
「棚田米コシヒカリ」はオンリーワンのお米
例年2月に予約登録米の受付をする特別栽培米「棚田米コシヒカリ」は「永田農法」で栽培されています。
2022年には『第52回日本農業賞新潟県集団組織の部』で『優秀賞』を受賞。
標高の高い山間地の棚田にありながら、特有の農法理念に基づき、有機農業に近い環境保全型稲作と良食味米生産に優れた栽培技術を確立していることが認められました。
「平成6年に国の食糧管理制度が撤廃された時に、『永田農法』に出会い特別栽培米の生産を始めました。
収量を少なくし安全でおいしいお米をつくり、品質に見合った価格で販売する。量から質の転換となる『永田農法』は創始者の故 永田照喜治(ながた てるきち)先生の名前から名づけられています。
『永田農法』で作っている米産地は他にはないと聞いています。このお米はナンバーワンのお米ではなく、オンリーワンのお米です。」
「特別栽培米の米袋には、ガイドラインを表示することが法律で決められています。
『農薬、肥料使用を慣行栽培の米より5割以下に減らす』というのが特別栽培米の基準ですが、この『棚田米コシヒカリ』は農薬を8割、化学肥料・窒素分を9割減らしています。
『5割減で特別栽培米と名乗れるのだから、5割減でいいじゃないか』と考えるのが普通です。それ以上減らしたら、労力も増えるし、収量も減ってしまうからです。
この『棚田米コシヒカリ』は、特殊なお米だといえると思います。おいしいだけでなく、安全性に配慮した、環境にやさしいお米です。特別栽培米のなかでもグレードの高いものを作っていると自負しています。」(山本さん)
「酒は百薬の長」ということわざは本当なの?
山本さんは上越市吉川地区産の酒米「山田錦」で作った日本酒「有りがたし」についても触れました。
棚田米や大豆と同じく、日本酒もこだわりを持って作っています。
「『有りがたし』は新潟県吉川地区産の永田農法で栽培された酒米『山田錦』で作った精米歩合90%(精白度10%)の純米酒です。大吟醸酒は精白度50%以下ですから、この酒は糠や栄養分を捨てない『環境にやさしい』日本酒だと言えます。深いうまみのある日本酒なので、県の分析センターに出してみました。」(山本さん)
有りがたし | 平成7年 酒造年度全国鑑評会出品日本酒(135点) |
昭和61年度 市販2級酒(46点) |
|
アスパラギン酸 |
17.0 | 4.2 | 6.8 |
ロイシン |
38.0 | 7.8 | 13.4 |
メチオニン |
4.8 | 1.4 | 1.2 |
※新潟県醸造試験場検査結果より一部抜粋(mg/100ml)
「『検査したすべてのアミノ酸が、市販の2級酒と比較しておよそ2倍から5倍含まれている。この含有量の差は、米の精白の違いのためである。』と分析センターからコメントをもらっています。
昔は精白技術がなかったので、あまり米を削ることができませんでした。だからアミノ酸などが酒に含まれ『酒は百薬の長』だったのでしょう。最近では、酒は体に悪いと思われているけれど『有りがたし』のような低精白の純米酒を適量飲むことは、必須アミノ酸が取れますし『この酒はちょっと違うぞ』と思われるのではないでしょうか。」(山本さん)
カタログ「産地だより」上越市の商品紹介、産地交流について
2か月に1度発行しているカタログ「産地だより」。
長年パルシステム東京と交流を続けている産地のおすすめ商品が多数掲載。今回の学習会でお話しした青大豆、棚田米、日本酒も掲載されています。
学習会の最後には、小林さんから商品と、年5回の上越市での産地交流企画の紹介が。
2月5日~6日開催の産地交流企画「よしかわ杜氏の郷DE蔵人体験~蔵で洗米&押し寿司作り&雪遊び」では、多数のお申し込みをいただきました。
企画当日は22名の皆さんと上越市吉川区に訪問して、よしかわ杜氏の郷で洗米体験や日本酒学習会に参加。宿泊先の「スカイトピア遊ランド」では、雪遊びや押し寿司作りの体験を行ない、生産者の皆さんと交流を深めました。
パルシステム東京は、今後も産地と組合員の交流企画を多数予定しています。
詳細は、公式ホームページの「イベント情報」をご覧ください。
学習会の様子を公式YouTubeで公開しています。
ぜひご覧ください。
上越・棚田米コシヒカリと青大豆の「うめぇ~」はなし