活動レポート

「農事組合法人トキワ養鶏公開確認会」を開催 | 飼料米の取り組みやクリーンな鶏舎内などを確認

2017.10.20

 パルシステム東京は9月21日(木)、22日(金)の両日、青森県南津軽郡藤崎町で「農事組合法人トキワ養鶏公開確認会」を開催しました。「コア・フード平飼いたまご」や「トキワ玄米たまご(インターネット限定商品)」の生産、有畜複合経営の実情など、生産者と消費者の二者が現地で直接会って確認しました。

監査人が直接確認する公開確認会

  公開確認会は、生産者と消費者の二者が産地で生産状況を確認するパルシステム独自の制度。1999年に始まり、パルシステムグループ全体で120回以上開催しています。

 

  2回目の開催となった「農事組合法人トキワ養鶏(以下、トキワ養鶏)公開確認会」には、事前の講習を修了した監査人のほか、一般参加の組合員、生産者、生協役職員、関係者など総勢63名の参加がありました。

トキワ養鶏公開確認会 2017の様子(動画)

鶏卵の生産を基軸に地域循環型農業を促進

 開会にあたってパルシステム東京の小島教子・組合員理事は、「長年パルシステム東京のコア提携産地として交流を継続していただいていることに感謝します」と語りました。続いてトキワ養鶏の石澤清行・代表理事組合長は「11年前に始まった飼料米の取り組みですが、当初は理解が得られず、2人の生産者からのスタートでした」と前回12年前の公開確認会以降の歩みを振り返りました。

 

  来賓としてご出席いただいた平田博幸・藤崎町町長からは「昭和58年(1983年)卵取引を開始以来、五者協定による都会と農村の交流を行ってきました。昨今、飼料米卵のテレビ放送を受けて大量注文を受けることもありましたが、これは一過性のもの。交流のある生協・組合員への安定的な供給が最も重要と考えています」と、継続的な利用を訴えました。続いて、津軽みらい農業協同組合の久米田喜代寿・代表理事常務からは「栽培面積の9割は農薬半減の田んぼで、特別栽培米を年3万俵ほど作付しています。トキワ養鶏の鶏ふんは発酵鶏糞堆肥として地域の田んぼに返すことで地域循環型農業を促進しています」との評価をいただきました。

できるだけストレスのない環境にこだわり続ける飼育方法

1日目は産地プレゼン、各種帳票類や飼料原料の確認、および飼料米倉庫・圃場見学を行いました。トキワ養鶏では地元で生産された飼料米の活用を積極的に進め、産直たまご(白玉・赤玉)では飼料の25%、コア・フード平飼いたまごでは30%、トキワの玄米たまごでは68%を飼料米としています。また、非遺伝子組み換え(NON-GM)の飼料にこだわり、コア・フード平飼いたまごはひなの餌もNON-GMに限定しています。さらに発育促進剤、抗生物質、抗菌剤も使わず、一貫飼育・管理で健康的な鶏を育てています。

 

  飼料米の取り組みについては「2010年からはすべての鶏の餌に飼料米を使用しています。この飼料米の栽培においても減農薬栽培*1を行っています」とトキワ養鶏の工藤直樹主任が解説。視察では、飼料米についても格付けが行われていることを確認しました。餌による味の変化について質問が挙がると「(コメ由来の)オレイン酸が含まれているので、まろやかな味になっています」との回答がありました。

*1最大5成分までの農薬使用。藤崎町基準は8成分以下(特別栽培)、慣行基準は17成分。

 公開確認会2日目にはトキワ養鶏GPセンター*2、飼料配合施設の見学のほか、監査人ら12人が、産卵中、掃除中などの各鶏舎内の様子を視察。餌箱や鶏がとどまる場所などの洗浄が行き届いた鶏舎内は臭いも感じられず、ストレスの少ない環境で、愛情を持って健康的な鶏が育てられていることを確認しました。

*2Grading&Packingの略、生産農場で産まれたたまごをサイズ格付けして包装する施設

経営悪化を乗り越えて 将来のビジョンも共有

 続いてJA津軽みらい常盤支店にて帳票類の確認を行った後、監査所見の発表が行われました。組合員監査人からは、「管理状況や飼育環境、(人を怖がらずに)近寄ってくる鶏たちを考えると、トキワ玄米たまごは、安いと感じます」「手を掛け、色々な人の目を通して、私たちの所に届くことを実感しました。鶏舎に(クラシック)音楽が流れることで、鶏たちも穏やかな顔をしていました」「産卵小屋は安心して卵を産める環境が整っていました」といった報告がありました。

 

  監査所見を受けてトキワ養鶏の石澤代表からは、「8年ほど前に経営が悪化し、役職員が一丸となって事業改善に取り組んできました。パルシステムの組合員に支えられ、またパルシステムから経営指導を受けながら、ようやく経営が安定してきて、設備投資や職員の給与体系見直しが検討できるようになってきました。これからもパルシステム組合員と一緒にたまごの生産に取り組みたい」と産地の受け止めが述べられました。 閉会の挨拶に立った石田敦史・パルシステム連合会理事長は「トキワ養鶏は役員が一新して若返りました。これからますますパルシステムとトキワ養鶏の産直が発展することを期待しています」と結びました。


「農事組合法人トキワ養鶏」について

「農事組合法人トキワ養鶏」について

  パルシステム東京の前身生協の一つ、江戸川生協と赤玉たまごの取引を開始したのは1979年7月。トキワ養鶏グループは、BMW(生物活性水)技術の導入や、平飼い生産、飼料米の給餌など先進的な取り組みを進め、2010年1月に第1回FOOD ACTION NIPPON大賞および農林水産大臣賞をダブル受賞、2013年2月には「第18 回環境保全型農業推進コンクール」において最優秀賞( 農林水産省生産局長賞) を受賞するなど、全国の生産者を牽引する存在となっています。